murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
続「他人の目」が気になる人へ  / 水島広子

■概要(Amazonより引用)

「ひとりで外食ができない」「SNS上の友達の数が少なくて恥ずかしい」「職場で孤立し、つらい」「独り身で老いていくのが不安」―。人生の様々な場面に潜む「ひとり」の不安の多くは「他人の目」が原因で、「ありのままの自分」と「つながる」ことで軽減が可能です。よりよい人生のために「ひとり」への不安を手放そう!好評シリーズ第2弾。

 

■所感

続編となる本書のテーマは「ひとりに対する不安」のため、現在の自分には正直引っ掛かりにくい内容ではあった。ただ、自分をへこませるような出来事を”衝撃”(角に足の指をぶつけたときと一緒。痛みはやがて去る。衝撃とは、最も痛みに敏感な部分を予期せず痛めること。)と例える言い回しはなんだか深く納得感があった。「今、自分は衝撃を受けたのだ」と認識することで、「自分のこれまで」に対するネガティブな目線を回避できるわけで、そういう心の持ちようはありだなと思った次第。

 

■メモ

  • ありのままの自分を受け入れてみましょう。「まあ、いろいろあったからこんなものだな」「それにしてもよく頑張ってきたな」というように、自分の現状を否定することなく受け入れるのです
  • どこまで業績を落ちたら廃業するといった「線」を引くことで、「今」に集中する事ができる。「今」に集中するとは「得る」発想ではなく「与える」発想。「どれだけのサービスができるか」など
  • 人事を尽くして天命を待つ。思ったような成果が上がらなくても、その仕事ぶりを買ってもらえるかもしれないし、別の仕事の転機になるかもしれないし、業界や働き方が合わないと根拠をもって感じられるかもしれない
  • 衝撃からの回復にはある程度の時間が必要。角に足の指をぶつけたときと一緒。痛みはやがて去る。衝撃とは、最も痛みに敏感な部分を予期せず痛めること。自分だけが世界から突き落とされる感覚に近い。衝撃を受けて、「もう二度と衝撃を受けたくない」態勢に入った心身は自分を責め始める。二度と衝撃を受けないために、厳しく自分をチェックし始める。自分の落ち度を責め始める。
  • 「今、自分は衝撃を受けたのだ」という認識ができれば、回復の時間を必要最小限にできる。そうしないとダメな自分に目がいき、それまでの人生の全てが間違っていたような感覚になってしまう。衝撃からの回復の足を引っ張ってしまう(そしてそれは真実ではない)
  • 沿道の植物、空、食べ物、それを作った料理人など、「他人・自分・今(現在)」の3つをきっかけに「つながり」を感じることができる。つながりを感じることが心の持ち方には重要

 

以上

| ハウツー書 | 22:53 | comments(0) |
「見せかけの勤勉」の正体 / 太田 肇

■概要(Amazonより引用)

「こんなに残業しています。だから、認めてください」
――あなたの心の片隅にも、こんな考えがありませんか?

働く環境において特殊な状況にある日本。
有給休暇はあまりとらず、残業も多い。
しかし、「仕事に対して非常に高い熱意を感じている日本人はわずか九%」という調査結果がある。
つまり、日本人の九割はやる気が無いのだ。
勤勉で知られる日本人のそうした実態が、国際競争力の低下を招いている。
本書では、そうした日本の労働環境を「やる気」という観点から鋭く分析していく。

たくさん働くけれども、やる気がない。
やる気のアピールは多いが、実体がない。

そんなやる気のパラドックスと呼べる現象の要因は、「五つの足かせ」と「二つの主義」だった――。
人事管理研究の第一人者が説く、新しい労働観と管理論とは?

 

■所感

学術的な観点から「見せかけの勤勉」の説明とそれを打ち破るための示唆を提供してくれるものと期待して読んでみたが、その観点で言えば基本的に主観要素が強く根拠が薄い印象を受けた。また、導き出される結論自体に目新しいものもなかったため、自分の期待とはそぐわなかった。

 

■メモ

  • 労働政策研究・研修機構は、成果主義の導入の有無と売上高及び経常利益の変化率との関係を分析しているが、両者の間に統計的に意味のある関係は見いだされなかった。
  • 仕事がいっぱいで帰れないのではない。評価を気にして帰れないとは言えないから、業務がいっぱいで帰れないと言う。

 

以上

| 学術書・研究書 | 21:07 | comments(0) |
スパイクを買いに / はらだみずき
評価:
はらだ みずき
KADOKAWA/角川書店
¥ 660
(2014-04-25)

■概要(Amazonより引用)

出版社に勤める41歳の岡村は、突然の異動により、会社での居場所を失いつつあった。そんなとき、息子の陽平から中学校のサッカー部をやめると宣言される。息子の気持ちが知りたい岡村は、陽平の元コーチの真田に誘われ、草サッカーチームに参加することに。思うように身体は動かず、筋肉痛の日々。しかし、それぞれの事情を抱える仲間とボールを追ううちに、岡村の中で何かが変わり始める―。今に悩む人の背中を押してくれる、人生の再出発の物語。

 

■所感

著者の真骨頂とも言えると思うが、人生は良いものだとほのぼのと思わせてくれる、とても温かい小説。もちろん起きる出来事や人物の言動自体は時に現実そのままに厳しく冷たいものが多くあるのだが、それらを乗り越えていく過程に様登場人物の温かみを感じる。しかもそれは安いドラマではない。徹底したリアリティを感じる人物描写や会話、物事の結果があるからこそ、そこに感動を感じることができる。やや悪役的に描かれるキャラですらしっかりと人間らしさがあるし、何気ない描写ではあるがちゃんと救いもある所がニクい。

 

作品全体のメッセ―ジとしては、人は何歳からでも変わっていける、ということだろうか。著者本人を振り返る後書きの内容もそれを証明・後押しするものである。

 

現実は勧善懲悪ではないし、それぞれの事情がある。そしてそれでも前向きに生きようとする意思がある。

本書に限らず著者の小説には、自分の現実の人物に置き換えてふと考えさせられるような圧倒的なリアリティ、そして背中をそっと後押ししてくれるような前向きな人生観があると思う。

読後、自分も素直に頑張ろうと思えた。

 

■メモ

子離れの描写である、”仕事でも子供でない何かを見つける”って、確かにとても重要だと思う。

 

以上

| 小説・エッセイ | 20:55 | comments(0) |
BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制 / 木村 亮示、木山 聡

■概要(Amazonより引用)

いくらスキルをみがいても、それだけでは決して一流の域に達することはできない。伸び悩みを突破し、「成長し続ける」人材になるために必要なことは何か。本書では、多様な人材を超高速で戦力にまで磨き上げる外資系コンサルティングファームの特訓法を紹介する。育てる側も、育てられる側も必見の1冊。

 

■所感

人材育成の根本的な在り方を体系的かつ”前向きに”述べている点が良いと思う。基本的に成長には乗り越えるべき壁があって成立するものだが、その壁のとらえ方について、例えば「原因自分論」(自分が全て背負いこむ辛気臭い話でない。原因他人論は、他者が変わらない間耐えることになってしまう)であったり、短期集中特訓のやり方(特訓の宣言と合意により始めることで前向きに進められる/人でなく資料に対するレビューであればそれを苦く受け止める必要はない)などは非常に腑に落ちる。掲載されているアプローチも具体的であり、育成する側の施策面とされる側の意識の双方において参考になると思う。

 

 

■メモ

  • 本来、成長は手段に過ぎない。成長が目的になると、壁にぶち当たった時に乗り越えるための力がでない(ゆえに他者への貢献に対する思いが強いほど、成長できる)
  • 自己認識が回りの評価とずれている人がいる。これは「自分の中で相対的に得意である」と「プロとして仕事で通用する水準を超えている」を混同しているから。本人は得意なことで貢献しようとするが、結果として空回りに終わる。
  • 「成長」=「目指す姿」(ビジネスで成果を上げている状態=目標)と「現状」(今の自=自己認識)のギャップ(=課題)を埋めること
  • 目標設定においては解像度を上げる必要がある。−「もっとクライアントの役に立てる」や「経営者に信頼される」ではなく、「〇年後には、x部長が悩んだときに携帯に電話をしてもらい、30分話して「頭の整理ができたよ」と言ってもらえるようになりたい」というレベルまで解像度を上げる。つまり、「ビジネスという文脈で顧客にどのように貢献できるようになっていたいのか」「どんなことができる自分に、いつ、なっていたいのか」をビジュアルに想像することが鍵
  • 成長したいのなら、まず「自分のことしか変えられない」という意識を持つこと。これは原因を自分ですべて背負い込み耐え忍ぶような辛気臭い話ではない。自分で変えることのできる「自分」に原因があれば、それは当然、変えることが可能である、と実践的・前向きに考えると言う話なのである。実は原因他人論の方が、他者が変わらない間、うまくいかない状況に耐え、苦々しい感情を持ち続けないといけない。
  • 成長を加速させる鉄則「行動を因数分解する」。「振り返り」→「因数分解」→「整理」→「応用」。その仕事でやった行動を分解すると、他の仕事でも応用できる学びが得られる。
  • 目の前の仕事に手いっぱいで育成の時間がとれないというマネージャーの悩みをよく聞くが、果たして成果と育成は取れ0−度オフなのか。うまく育成できている状態は成果を最大限発揮させられている状態ではないか。育成がうまくいっていないかたトレードオフの発想になる。
  • 仕事を分解しどこまで任せるかを設定する。段階は‥えるべき論点/問い、検証すべき仮説、2樟盡‐擇離織好、じ鎚椋邏箸4段階。初めから任せるほど難易度が増す。
  • 短期集中特訓は、特訓の宣言と双方の合意によりスタートする。「厳しくやるが見捨てないことを伝える」。課題を与えたら時間を短く切る。様子を見ながら頻度を少しずつ下げていく。
  • 仕組みとしての中長期PDCA。仝従把握、各キャリアアドバイザーは、半期レビューに向けて全てのPJマネジャーにヒアリングし、強みと要改善点、今後どんなことをやればいいのか、までを確認する。そのうえで現状見立てと育成方針プランを作成する。∩完で集まって集中討議を行う。強みと要改善点、前回からの進捗、現状の本人の認識、今後に向けて積むべき経験、本人の適性に基づく方向性などについて説明した後、他の参加者から質問や反論がだされる。フィードバック。本人と現在働いているマネージャーに伝達され、その後の育成に役立てられる。
  • コンサルティングの変化、〇駑塑遒→事業/人づくり(+資料)、単発/案件ベース→継続/リレーションベース、J業→協業、ぅ璽優薀螢好→ゼネラリスト+専門性、シ佝→投資

 

以上

| ビジネス書(一般) | 20:42 | comments(0) |
最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか / 河本薫

■概要(Amazonより引用)

日本一有名なデータサイエンティストが分析組織の全貌を初公開!
社内の「便利屋」が最強のチームになるまでの挫折と成功の軌跡

日経情報ストラテジーが選ぶ「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」の初代受賞者である、 大阪ガスの河本薫氏による待望の2冊目となる本。
同氏が所長を務めるデータ分析組織「ビジネスアナリシスセンター」の生い立ちから数々の失敗、乗り越えてきた壁、そして分析組織のリーダーに求められる信念と行動を初告白します。

社内外の誰からも注目されていなかった無名のチームが、いかにして日本一有名なデータ分析組織に生まれ変われたのか。
チームを率いる著者がこれまで語ることがなかった苦悩や挫折、そして、ある日突然有名になってからの状況の変化などを、余すところなく赤裸々につづった一冊です。

データサイエンティストを目指す人はもちろんのこと、社内でデータ分析組織に携わる人や、これから同じような組織を作りたい人、イノベーションや業務改革を成功させたい人には必読書といえます。

本書はデータ分析の手法の紹介にはフォーカスしていません。
なぜなら著者は「データ分析は業務改革やイノベーションを実現するための手段の1つに過ぎない」と考えているからです。
むしろ、チームのメンバーとデータ分析でイノベーションを起こすという「ミッション」を共有し、問題を解くことではなく会社に役立つことに価値を置く「カルチャー」を育み、社内の事業部門から「信頼(レピュテーション)」を勝ち取ってイノベーションを達成することがデータ分析組織の役割であり、責任範囲であるという持論を展開します。
そのために必要なノウハウや社内での話の進め方、人の巻き込み方などの経験談をふんだんに盛り込みました。

 

■所感

日経新聞によれば、大阪ガスは、オフィスビルなどに設置されたガス機器の遠隔監視するサービスにおいて、ビッグデータを分析して事前に故障を予知し、先回りして保守担当者が部品交換に駆け付けるサービスを実現しているとのこと。そこに大きな貢献をしているデータ分析に興味を持って手に取ってみた。これほど古い重厚長大型の企業において、どうやってデータドリブンな業務プロセスを実現したのか、知りたかった。

 

印象に残ったのは2点。組織の目的の明確化と事業部門の巻きこみ(独立採算制)である。

 

前者については、如何にその組織が会社にとって必要か(著者の言葉で言うなら”役に立つ”か)、ということを明確にすること。この点、データ分析のWhy(なぜそれがやりたいのか)・What(何をやりたいのか)が明確になっていない段階で、How(AIやIoT)といった手段に走りがちという著者の指摘はもっともと思う。一方で、本書では触れられていないが、恐らく大阪ガスのデータ分析組織自体も恐らくそのような状態の下に生まれてきたと思われ、だからこそ現在の状態に至るまで18年という歳月を要したのではないのかなと。

 

後者については、事業部門を如何に巻き込めるかということ。独立採算制で事業部門から予算をもらう形をとることで、事業部門側の本気度を引き出すことができる。また、データ分析側も単なる分析に終わらすことなく、どう事業課題の解決につなげるかを考えながら業務に臨むことになる。実際に行うとなれば軌道に乗るまで非常に困難なハードルはあると思うが、データ分析組織の事業貢献に向けての動機付けには不可欠な仕組みと言えると思う。

 

また、著者はコンピテンシーという言葉を使っているが、その組織が企業内においてコアコンピタンス(競合や他社にはない能力)と言える存在と言えるかという視点は非常に新鮮に感じた。データ分析組織だけでなく、財務が、人事が、総務が、コアコンピタンスと呼べる状態は何か、それを追求するのは、とても重要で、しかし実際にはない視点ではないだろうか。この点も本書で得た良い気付きであった。

 

以上、期待通りの良書であった。

 

■メモ

  • 研究所から情報通信部に移って良かったのは「手段」へのこだわりがなくなったこと。以前は新規性や難易度を気にしていたが、成果だけを追求する姿勢に変わった
  • 苦労して乗り越えた壁は、〇業部門と連携する壁、会社の経営に貢献する壁、J析組織のメンバーを育てる壁、ぅ皀船戞璽轡腑鵑魄飮する壁
  • 事業部門でどのような新規ビジネスを創りたいかが決まってはじめて必要なデータ分析が見える。ビジネスアイディアがない状態でデータ分析はできない
  • 保険会社のアクチュアリーは保険商品を作る、製薬会社のデータ分析チームは新薬を政府に認可してもらうためのデータをそろえるなど、期待が明確であり、事業部門との役割分担が明確。大阪ガスの場合にはそこが曖昧なため難しさがあった。ロールモデルも出すことができない。
  • パワーポイントで事業部門の興味を惹けたらまずパイロット分析で実現性に納得してもらう
  • 分析データが意思決定に活用されない3つのレベルー^媚弖萃蠅北鯲たない(一週間先までの予測が必要なのに3日先まで等)、意思決定には役立つが使えない(予測の中身がブラックボックスで説明に使えない等)、0媚弖萃蠅忙箸┐襪里妨従譴傍馮櫃気譴襦併箸Δ里難しそう、これまでの経験と勘の方が正確だ 等)
  • 高度な分析手法を求めるほど、意思決定の精度はよくなるが、根拠を説明するのは難しくなる。結果責任と説明責任のトレードオフの関係がある。
  • 現場は意思決定をしているという自覚すらないことがある。その場合には「どのようなデータ分析をすれば意思決定に役立つか」という質問は封印し、「普段どのように仕事をしているか教えてください」と現場に同行し、仕事のやり方を間近で見ながらその場で質問し、教えてもらう姿勢を示す
  • 意思決定プロセスを定義して設計する −〜択肢→評価(データ分析が手掛かりになる個所)→H獣→す堝→サ結
  • データ分析を活用するために、意思決定プロセス自体を再設計することもある
  • 負け戦のパターン −仝従戝甘者の本気度が足りない、△匹譴世唄萃イ辰討眛世蕕譴觚果が少ない、A農欧蕕靴ね渋をしても行動できない(顧客ターゲティングで、買ってくれそうな顧客にアプローチするチャネルがない場合等)
  • 全ての組織と仕事をすると、組織横断的な業務改革が可能になる
  • 「社内にこれだけデータがあるのだからここから新たなサービスを作ってほしい」はお門違い。「新しいサービスの考案」と「それを実現する事」を混同している。前者はITの知識や分析力がなくても可能
  • ロールモデルがないことを逆手にとって、「自分のロールを自分でデザインできる自由度がある」と考えた。ただし、「…の分析が得意な分析者」というのはロールとしては不十分。手段はロールにはならない。「〜に貢献する」などのロールを考える必要がある
  • モチベーション維持のため、〇業部門でできるデータ分析は避ける、∋業部門自身のデータ分析力を高める(主体を明確にする、研修を実施する等)
  • 自分たちのミッションは、事業部門だけでも業務改革はできる、イノベーションは事業部門だけでは難しい、イノベーションを共に実現する、ということ
  • 会社にとって必要な組織であることと、「コンピテンシーとなる組織」であることは違う。例えば普通の仕事しかしてない人事部門は必要であってもコンピテンシーではない。他社にはまねできない人材育成や採用活動をしている人事部門はコンピテンシーとなる
  • 従業員の挑戦するモチベーションは、「やりたい」「やるべき」「やれる」の合致。ここでいうやりたいとは「**を使って○○を実現したい」という目的と手段がセットになっているもの。「AIをやりたい」だけでは、ここでいうやりたいとは異なる
  • 全体ではなく、現場感覚で実用性と成果が腹落ちしそうなところだけをまず提案する。例えばSCM全体の最適化をしたくても、いきなり全体像を話しても絵に描いた餅になってしまう。こうして個々を積み上げていって全体像が「食べられそうな餅」になった段階で全体像を提案する
  • 企業は最近、「何のためにしたいのか」「どのような類のことをしたいのか」「なぜできないのか」「どうすればできるのか」という議論をすっ飛ばして「ツールをそろえよう」「先進企業とアライアンスを結ぼう」「推進組織を作ろう」といった手段に飛びつきがち

 

以上

 

| ビジネス書(一般) | 20:48 | comments(0) |
大人になるためのリベラルアーツ: 思考演習12題 / 石井 洋二郎、藤垣 裕子

■概要(Amazonより引用)

本当の「教養」とはなにか?「絶対に人を殺してはいけないか」「真理は1つか」など、簡単に答えの出ない問題と格闘し、異なる専門や価値観をもつ他者との対話をとおして真の「大人」になるための思考力を鍛える。東京大学による新しい教養教育の試み。

 

■所感

とても面白かった。

根源的な問いをめぐる学生間の議論によって、徐々に重要な示唆が導かれていく様子はエキサイティングである。例えばいじめ問題に関する記述にはこうある(記憶ベース)。

 

”「差異があるから差別が起きる」のではなく「差別をするために差異を作り出す」という倒錯した状況がいじめ問題にみられる。したがって、差異が見えにくい同質的な集団ほどかえって、むしろ無理に差異を捏造しようとして特定の対象を排除する機制が作動しやすいと言える”

 

教養とは知識でなくモノの見方であることを実感として感じられる良書であり、万人にお勧めしたい一冊。

 

■メモ

  • 引用とは他の論文との差異を強調し、ほかの論文群の中に当該論文を位置づけする役割を果たす「コンパス」であると考えられる。引用によってもとの論文の意味はつねに再配置される
  • 文系の場合は、もとより著者の思考過程の方が結論より重要であるから、文章の記述そのものに明確なコピペがある場合は、量の多寡にかかわらず学術論文として致命的であるというのが一般的な考え方
  • グローバル人材の定義に共通する基本的な事項、 ̄儻賣呂妨造蕕此語学力全般とコミュニケーション能力の重要性が謳われている、異文化への理解と同時に、「日本人としてのアイデンティティ」も要求されている、6調性や積極的に加えて、責任感や使命感といった倫理感側面も強調されている
  • 原則的に許されるか、自分の問題としてどう思うか、で結論は異なる
  • 研修の主催者によれば、大企業には人間=自分と思っていて、自分の考えが相対化されていない人が多い。他者の人を聴けなくなっている人が多い。ゆえに他者の話を聴いて自分と向き合うということをする。日頃目の前のソリューションばかりを考えている思考にアカデミズムの側から相対化の視点を与える。
  • 「文学もfactに則ってもちろんやるんですよ。でもあるところから飛ぶんだなきっと」「飛ぶんだろうね、飛んじゃいけないだよね、科学は」「文学は飛んでいいんですよ、無責任なんです」・・・「無責任さを一回追求してみたらどうかと思うわけ。責任を果たそうと思っている限り飛べないんですよ」
  • 根源的根拠をめぐる問いは、今、こうであるという現実を維持するための「記述的説明」機構によって一時的に明快に説明される(人を殺してはいけないという倫理は絶対の価値を持つものでなく、共同社会の成員が相互に共存を図るためにこそ必要という平凡な結論)が、解決できない矛盾が現れて根源的根拠の問いが再び現れる。この相互作用で理解が進む。
  • 「差異があるから差別が起きる」のではなく「差別をするために差異を作り出す」という倒錯した状況がいじめ問題にみられる。したがって、差異が見えにくい同質的な集団ほどかえって、むしろ無理に差異を捏造しようとして特定の対象を排除する機制が作動しやすいと言える
  • 対話によって深まるステップ、〆弘曚稜Ъ院↓∩蠍濔鞠А兵分が大事にしているのと同じだけの価値が相手にもあることを相互に承認する事)、自己の変容、す膂
  • なんか変だよね、が差異の発見であるが、それがどういう差異なのかを発見させ、言語化させるのが教育であり、発見・言語化できないと不安につながり、それが差別になるのではないか。
  • 差異がどうして差別に横滑りしていくかというと、差別とは同質性の確認。2人しかいないと差別は生じない。ところが3人いると、2人が同質性を確認する事によって、残りの一人を差別するという構造が生まれてくる。同質性は幻想。みな同じはずがないのに。差異と差別のメカニズムはそのようなもの
  • ほかの誰とも違うという事を皆で目指せば同質性の確認が必要なくなり、差異を強調する必要性が減るのでは。例えばフランスでは「あなたは他の誰とも違う」は誉め言葉。日本ではどうか。
  • 「私」はいくつもの「私」の集合体であり、しかも常に変容を繰り返す運動体であることを実感できるようになったとき、人は言葉本来の意味をにおいて「他者を理解する」ことができる。そして「大人になる」とは、まさにこうした「やわらかいアイデンテティ」を獲得することにほかならない
  • 教養というのは、自分の中に多種多様なパースペクティブを持つことにほかならないと思う。それによってある問題に対して多様なアプローチができる。私の中に無数の分人を持つことが教養になるのだ。しかしそれが同じレベルで内在してしまえば自己同一性が失われて思考の向かっていく先が定まらない。そこに専門の意味が現れてくる。

 

以上

| 学術書・研究書 | 15:01 | comments(0) |
確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 / 森岡 毅, 今西 聖貴

■概要(Amazonより引用)

世界屈指のマーケター&アナリストが、USJに導入した秘伝の数式を公開。

ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっている。
その確率はある程度まで操作することができる。

八方塞りに思える状況でも、市場構造や消費者の本質を理解していると、勝てなさそうに見える局面や相手に対しても勝つチャンスのある戦い方、つまり勝つ確率の高い戦略を導き出すことができる。
その戦略を導き出すのが「数学マーケティング」である。

 

■所感

まさに森岡氏の集大成と言える内容であり、その数学マーケティングの知見を余すことなく掲載している。

だが、平均的な数学リテラシーを考えれば、このメソッドをそのまま活用できる担当者はかなり限られると思われる。実際自分も数式に関しては割と序盤からよくわからなかった。

 

それでも本書が提示した重要な価値は、数字を代表とした、合理的・論理的な準備を徹底したうえで、最終的な意思決定を行うことができることを示したことにある。それがあることで意思決定の成功確率が上がり、何より後世の組織学習へとつなげることができる。

よって、ここに書かれているのは、戦略という非常に抽象的なものを、因数分解して仮説を立てられるレベルに落とすことの意味であり、本質的にはその各要素は数式でなくてもよいのだと思う。


「日本人はもっと合理的に準備してから、精神的に戦うべき。」

 

あとがきのこの一文こそが、本書の一貫したメッセージなのだろう。

 

 

■メモ

  • 市場構造を形作っている本質「プレファレンス」。プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスで構成されている。
  • 市場競争とは、1人1人の購入意思決定の奪い合いであり、その核心はプレファレンスである。
  • 戦略の焦点は3つ。ー社ブランドへのプレファレンスを高める、認知を高める、G朮戮鮃發瓩襦
  • 認知の本質は消費者の「エポークド・セット(買ってもいいと思っているいくつかのブランド群)」に入っているか。
  • 自社ブランドが、それぞれの小売店にとって「確たる役割」を果たせるのかが非常に重要。小売店の売り上げ単価なのか、利益額なのか、利益率なのか。
  • プレファレンスの垂直拡大よりも、水平拡大の方が成功する場合が多い気がする。既存のユーザーを耕すより、その外を耕す方がマーケットがずっと大きいから。
  • 年間購入者の割合:認知率×配荷率×過去購入率×エポークト・セット率×年間購入率
  • プレミアム・プライシングは正しい。中長期の観点でブランディングを考えた場合、付加価値のあるブランドとして成立していることが重要。
  • 市場調査は主に仮説を生み出す「質的調査」(消費者の観察、訪問インタビュー、フォーカスグループインタビューなど)と仮説を検証する「量的調査」(使用実態の調査や製品のパフォーマンステスト、コンセプトテストなど)に分かれる。
  • 消費者の本質的ニーズは変わらない。変わるのはそのニーズを満たすカテゴリー便益の製造方法と個々の消費者への便益の配達方法、そのカテゴリーを構成しているブランド。
  • 上記の前提のもと、自身が取り扱うカテゴリーとその上位カテゴリーの本質(消費者が求める便益)を質的調査で見極める。次にそれを基礎に法則性を見出す。
  • 今まで見てきた新製品で、3か月までの売り上げが予測と大きく異なり、それでも生き残った製品はない。
  • 一人あたりGNPはその国の社会の発展段階を示す良い指標
  • 予測値がベンチマークの数値とつじつまが合わない場合、仮説を見直す。結局、仮説、仮説に対する予測値、ベンチマークの実績値の3つが、辻褄が合い、自分自身にとって論理的にも感情的にもしっくりくるまで試行錯誤する。
  • プレファレンスの相対的関係での比較で注意すべき3点: |傭覆砲茲覬洞舛強すぎる、∩択肢の粒感(〇ミカン、×夏みかん)、I竺笋譴魑こさないか(例えばおでんの具材で、ねり物好きではちくわとかまぼこで割れてしまう)
  • 群衆の知恵が成立する要素 : 参加者それぞれが相互に独立していること、考え方の多様性がある集団であること。
  • 振り返りを行わないやりっぱなし文化をなくすために、PJをリードした実務担当者が結果を分析して学びを抽出し、組織全体に共有するプロセスがシステマチックに月次・シーズン、PJごとに振り返るシステムを導入している。
  • 完璧な組織はない。組織構築の選択は、わかったうえでその組織の弱点をどこに作るのかという意図的な選択。
  • 上司としての最大の仕事の1つは、自分自身の認識を変えることで、組織の人的資源を増やすこと。

 

以上

| ビジネス書(一般) | 12:10 | comments(0) |
マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド / 森岡 毅
評価:
森岡 毅
日経BP
¥ 1,728
(2018-05-24)
コメント:マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド / 森岡 毅

■概要(Amazonより引用)

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を劇的な再生に導いた後、
マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立、
マーケティングによる日本の活性化に邁進中の戦略家、森岡毅氏の待望の最新刊! 

なぜ、日本企業はマーケティングを活かせないのか?
なぜ、あなたの提案は通らないのか? 
実戦経験を極めた著者が、あなたを成功に導く<組織論>

【第一部】 組織に熱を込めろ! 〜「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質〜

【第二部】 社内マーケティングのススメ 〜「下」から提案を通す魔法のスキル〜

【特別対談】 成功者の発想に学べ! 〜起点となって世の中を変えた先駆者たち〜
 

■所感

やや★2寄りの★3という感じ。

というのも、本書は3部作だが、3部はそれぞれ独立しており、タイトルにつられて組織活性化観点で本書を手に取った場合はややボリューム的に物足りなさが残る。特に、第一部においては、挙げられる施策が「会議」の在り方を中心とした内容になっており、ある程度参考にはなるものの、その導入のHowやそれ以外の施策についてはあまり触れられていない。

また著者の書籍では珍しくやや全体の構造がわかりにくいのも難点で、森岡氏の会社のためのマーケティング先行で急いで発刊した感もある。

 

一方で自分としてはそれほど興味がなかった第二部は、社内マーケティングという珍しいテーマを具体的に掘り下げており、納得感がある。結構面白い。

 

尚、第三部はあくまで対談で従来の主張を簡潔に述べているに過ぎず、あまり価値は感じなかった。

 

■メモ

【目指す組織】

  • マーケティングドリブン(消費者価値基準)な組織は、市場構造に合わせて自己変革できる生存確率の高い組織
  • 会社を支える機能:.侫.ぅ淵鵐好轡好謄燹↓▲沺璽吋謄ングシステム、生産マネジメントシステム、その3つの基盤となっている「組織マネジメントシステム」
  • マーケティングドリブン(消費者価値基準)な人や組織を作る第一歩が組織マネジメントシステムの構築

 


【組織の本質的問題】

  • 性別差、年齢差、役割差が組織内コミュニケーション不全を起こす。それが組織のボトルネックになる。
  • 人間の本質は自己保存である。自己保存は自分の生存確率を最優先にすること
  • 例:頑張って勉強するのもいい生活をするための自己保存、人に親切にするのも自分の存在価値を確認したい自己保存、結婚して子を生すのも遺伝子の自己保存、著者が本を書くのも自分の思索を誰かに伝えて遺したい自己保存
  • 「個」の自己保存にとって「群れ」(会社)は手段である。一方で会社は会社存続を第一目的に掲げているので、組織と個人は利害相反の関係にあることを念頭に置く必要あり


【組織変革の要点】

  • 組織にとって正しい行動をとることが個人としての自己保存を実現するような仕組みが必要
  • ’箴絽上のために人々が好ましい行動を取る確率を上げる(マーケティングシステム)
  • → メモ:上記の建付けと重複している
  • ∩反イ僚斗徃獣任里燭瓩某諭垢好ましい行動を取る確率を上げる(意思決定システム)
  • 2饉劼望む方向へ人々を動機づける確率を上げる(評価報酬システム)


【意思決定システム】

  • 会議とは人を働かせるための儀式。自己保存の意識にしたがい、会議出席者は人前で恥をかきたくない、よく思われたい、という感情を利用する。
  • 「誰がどこで何を決めているかわからない組織」は、誰もが公に恥をかかなくてすむ仕掛けになっている
  • 自己保存をうまく利用する。議論ができ、意思決定者が明確な、意思決定を必ず行う(ガチンコの)会議があれば、そこに徹底的な準備をしてくるし、さらに全体的な利益に反する発言は逆に自己保存のリスクがある。
  • USJでは、社長が出席しないオープンな議論・意思決定の場を作った(社長と各部門の一対一では情報も共有されない)
  • → メモ:ただし、自己保存リスクに基づく会議はベターではあるが、ベストなのか(準備はするけど、発言自体は委縮する可能背もあるのでは)
  • 会議のアクションサマリー:〔榲、結論、7誅世忙蠅辰人由、し誅世亡陲鼎関係者が次に取るべきアクション(誰がいつまでに何をするのか?)を速攻でまとめて関係者に提出するルール
  • これらにより意思決定を完全に見える化した
  • 但し、活発な議論が行われるまでは1〜2年かかった

以上

| ビジネス書(組織・人事) | 01:41 | comments(0) |
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 / 森岡 毅

■概要(Amazonより引用)

2015年10月には過去最高の月間175万人を集客し、USJの3倍の商圏人口に陣取る東京ディズニーランドをも超えて、単月ではありますがついに集客数日本一のテーマパークになることもできました。<中略>USJはなぜ復活し、大成功をおさめることができたのか? なぜ次から次へと新しいアイデアが出てきて、なぜやることなすこと上手くいくようになったのか? その秘密は、たった1つのことに集約されます。USJは、「マーケティング」を重視する企業になって、劇的に変わったのです。

 

■所感

とてもわかりやすい。

昨今、マーケティング目線はマーケターだけでなく組織のあらゆる成員、例えば人事部などにおいても重要な観点になっている。従業員体験を創造するという概念「Employee Experience」などはその典型だろう。本書は、そのマーケティングの基礎的なフレームワークや考え方を非常に明快に教えてくれている。まさにマーケティング入門。

また、多くの企業が陥りがち、あるいは混同しがちな技術/品質起点と顧客起点は別物であることも非常にわかりやすく解説されている。

一方で、では具体的に個人・組織の利害を超えた顧客起点の考え方を企業に根差すためにどうすればいいかという点の解はない。それが気になるところ。

 

■メモ

  • 現実世界では、個人レベルの利害を土台にして、部門レベルの利害の軸が更に加わってくる。これらが縦横無尽に走っているのが会社組織。それをぶったぎって「消費者価値」としてのベストを押し通す意思決定の仕組みが必要。
  • マーケティングが必要に迫られるのは技術的差別化が難しいローテク業界。
  • マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」。コントロールすべき消費者との接点は3つ、‐暖饉圓瞭の中を制する(認知率、ブランド・エクイティ)、店頭(買う場所)を制する(配荷率、山積、価格)、商品の使用体験を制する(トライアル、リピート率)。
  • 売上個数 = 消費者の数 × 認知率 × 配荷率(+山積率) × 購入率(+再購入率)
  • 戦略とは目的を達成するために資源を配分する選択のこと。
  • 戦略の4S:Selective(選択的かどうか)、Sufficient(経営資源が勝利に十分かどうか)、Sustainable(継続可能かどうか)、Synchronized(自社の特徴との整合性)、この4つで戦略の妥当性をチェックする。
  • マーケティング・フレームワーク 〔榲→¬槁検Who)→戦略(What)→だ鐔僉How)、その前提に戦況分析がある。市場構造を理解して味方につけること。
  • 戦況分析の5C:Company、Customer(顧客/流通などの中間顧客)、Competitor、Comunity(ビジネスを取り巻く地域社会の理解)
  • 良いマーケターは消費者ニーズの理解に努めるだけでなく、底辺に流れる価値観や悩みはどこにあるのか、常日頃どんなことに関心を持っているのか、別の文脈ではどんな消費者行動をとっているのかを理解している
  • 目的は、高すぎず低すぎず、シンプルで魅力的
  • コアターゲットの見つけ方の切り口 : .撻優肇譟璽轡腑鵝淵テゴリーの中で自ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはないか)、▲蹈ぅ筌襯謄、コンサンプション(1回当たりの消費量を増やせるグループは)、ぅ轡好謄燹併藩兢ι覆亮鑪爐鯀やせるグループは)、ゥ僉璽船Д后Ε汽ぅル(既存使用者の中で購入頻度を上げる/購入サイクルを短くする)、Ε屮薀鵐鼻Ε好ぅ奪繊淵屮薀鵐品儿垢硫椎柔のあるグループは)
  • Howの4P(Product, Price, Place, Promotion)
  • 弱点は2種類ある。自身の強みと関係のない弱点、克服すれば自身の強みを更に発揮できる弱点、前者は強みでカバー、後者は克服すべき
  • 自分の強み探しにおいて重要なのは、他者との比較でないこと。自分の中の相対的な好き・嫌い・得意・不得意から導き出す
  • 人間の行動:第一の層価値観、第二の層マインドセット(意思・心構え)、第三の層スキル(技術)、第四の層振る舞い(人から見えるのは振る舞いだけ)

以上

| ビジネス書(一般) | 20:53 | comments(0) |
「他人の目」が気になるあなたへ 自分らしくのびのび生きるヒント / 水島広子

■概要(Amazonより引用)

「友人が少ない人、つまらない人と思われたくない」
「みんな自分のことをブスだと思っているに違いない」
「キャラを演じなくては嫌われる」「メールには即返信しなくては」……。
現代人はなぜこうも「他人の目」を気にするのか? 
要因となる“プチ・トラウマ"とその正体、克服法を精神科医が語る。

 

■所感

まあ割とこの1年という特にこの1か月は、何とかして評価を上げないといけないという意識が強すぎたせいで非常に気分の浮き沈みが激しかった。また、そんな他者の存在で簡単に疲れ切ってしまう自分自身に対しても失望し、なんだかドッと疲れたのだった。

一方ふと冷静になれば、自分は何と戦っていたんだろうかと。要は自分で自分を追い込んでいたようにも思える。

そんなわけで手に取ったのが本書。精神医学として、こういう感情の起伏や疲労にどのように対処すべきか改めて知りたかった。

 

結論、とても参考になる本であった。

要約として以下の通り。

  • 他人の評価とは他人の問題であり、しかも一時的で不安定なものである。それを基準にしているうちは心の安定は訪れない。基準にするのは、「自分の感じ方」。自分は「評価される対象」ではなく「感じる主体」であるということ。
  • 自分の現在は、「ベストを尽くしてきた」結果であり、「ここまでの事情の結果として現在の自分がある」。良い面も悪い面もなくあるがままの自分がそこにはある。
  • 自信とは身に着けるものではなく、そんな自分自身を肯定する事である。
  • それでも他人が気になるのなら、「自分は他人が気になるタイプだからそう感じるのは仕方がない」と思えばよい。
  • また、何かと評価を口に出す評価体質の人間には、そのように評価し口に出してしまう事情があるのだと、寛大な心で接することが自分の平穏にもつながる。

 

どうだろうか。もちろん、コンプレックスを基に自分以外の者(ありたい自分)を目指すことが強烈なモチベーションになることは否定しない。評価体質だからこそのエネルギーは過去に間違いなくあった。

 

しかし、現在は少し違う心境になっている。

まずここまでの自分のやってきたこと、やってこれなかったことを認め、現在の自分を受け入れる。そして今後も引き続き目の前にベストを尽くし、自分の成長を実感しながら生きていく。そんな風に生きていければいいなと。

それが、他人の課題と自分の課題を切り分けるということであり、もっと言えば、人生の主体を他人から自分に取り戻すということにつながっていくのだと思う。

 

■メモ

  • 他者による評価(常に相対評価)ほど不安定なものはない。それをもとに行動しているうちは安心感は得られない。
  • 私たちは自信をつけたくて他人の評価を気にします。自信さえあれば他人の評価が気にならないということは、他人の目を気にすればするほど自分の自信の無さに直面するということでもある。ここに出口はない。
  • 他人から「気にしすぎ」と言われると、人は「気にしすぎ」な自分を気にし、その結果、他人に対して「やはり他人は自分を評価し傷つける存在だ」という認識を強化してしまう。すでに気にしているということは、他人に対してその前提を持っていると言う事であり、ゆえに、「気にしないようにしよう」という心持ちは意味がない。
  • 対人関係療法では、病気というものを明確にする。例えば、「体型を気にする病気だから仕方ない」と考えることで、まずはあるがままの自分を受け入れることから始める。ありのままの自分を受け入れるというのは、「ここまでの事情の結果として現在の自分がある」と思う事。その際に重要な視点は「自分はどんなときにもベストを尽くしてきた」ということ。努力不足ではなく、そこには現状の限界があるだけ。
  • 自信とは「身に着けるもの」のような印象があるが、実際には「自分を肯定する気持ち」のことをいう
  • ポイントは「自分が気に入っている」ということ。「他人からプラスの評価を得ること」に重きを置くのではなく、「自分が良い感じ方をしていること」に重きを置く。
  • 結果がどうなるかよりも、今は「これでよい」と思う事が重要。それが自信のもとになる。
  • 自分を「評価される対象」から「感じる主体」にシフトさせることが、人生における楽しみにつながる。ダイエット、ファッション、メイクなんでもそう。
  • 他人からの評価は、相手側の問題。自分側の問題と混同するべきでない。相手には相手の事情があり、自分をネガティブに評価する人にはそうする事情がある。「つい言ってしまった人」や「何かしら事情を抱えた人」として相手の事情を尊重することが、結局自分の平穏につながる。攻撃ではなく苦しい悲鳴と捉える。
  • 口を開けば評価ばかりの人も「評価体質」の人もいる。幼少期から評価ばかりされてきた人の中には、何かを自分なりに位置付けないと安心できない人がいる。曖昧なものをそのままにしておく耐性がない。
  • 「評価体質の人」の中には、「他人を理解しようとする自分」や「寛大な自分」を作ろうとする、実は自分に厳しく他人の評価を気にしているタイプの人もいる。
  • 他人の目を気にしているときの私たちは、過去のプチ・トラウマや将来の成りたい自分に目がいっており、現在をお留守にしている場合が多い。今の感じ方を大切にすることが重要。
  • 自己開示をすることは関係の深まりにつながる。勇気を出して言う事でありのままを受け入れてもらうことは計り知れない治療効果がある。ただし、評価体質の人はありのままを受け入れないので、選ばないようにする。
  • そもそも「順風満帆な生き方をしてきたので、人生に傷をつけたくない」というのは、他人の目を気にしたモノの見方そのもの。
  • 他人の目が気になるときは、「今、自分はどういうストレスを抱えていて、自分についての感じ方がなぜ悪くなっっているか」をよく考えるとよい。バロメーターとして癒しが必要なときと考える。
  • 思春期は親から離れ「自分」に目が行く時期。ただし、思春期の対人関係様式を「人生の本性」と思ってしまうと、大人になっても他人の目が気になり続ける、ということになってしまう。

以上

 

 

| ハウツー書 | 01:03 | comments(0) |
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