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記憶の記録。あるいは独白。
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手のひらの京 / 綿矢りさ
評価:
綿矢 りさ
新潮社
¥ 1,512
(2016-09-30)

■概要(Amazonより引用)

なんて小さな都だろう。
私はここが好きだけど、いつか旅立つときが来る――。

奥沢家三姉妹の日常に彩られた、京都の春夏秋冬があざやかに息づく、綿矢版『細雪』

おっとりした長女・綾香は31歳、次第につのる結婚へのあせり。一方、子供の頃からモテて、恋愛に生きる次女・羽依は入社早々、職場で人気の上司と恋仲に。大学院で研究に没頭するリケジョの三女・凜は自ら人生を切り拓くべく、いずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。かけがえのない日常に宿るしあわせ。人生に、恋に悩みながらもまっすぐ生きる三姉妹の成長と旅立ちの物語。

 

■所感

綿矢りさらしい、額面を斜めから見るような視点の記述は相変わらず鋭く、そんな著者の京都人評は当然ながら興味深い。そして同じ京都出身者として非常に頷ける。

京都人特有の穏やかなようで穏やかでない何か、怒るや諭すでない”刺す”ような表現、何か出ていくことがおかしいような、出て行っても戻されてしまう圧力、人々を包み込む穏やかな閉塞感、そういったものが非常に絶妙な表現で記されていたように思う。

 

登場人物の設定上、どうしても自分と重ねて読んでしまったのだが、まあ幼少期を振り返ってもウェットな風土だったな〜と思う。悪い点で言えば、”やらしい”言い方をするとか、”間接的な嫌がらせ”をするとか、男同士のいじめでも単純に殴ったり蹴ったりというよりは、仲間時外れにしたり持ち物を隠したり見たいなことの方が多かった気がする。人間関係、特に女性のそれは結構大変なことが多い場所だろうなと思う。

一方で、街の風情や仏閣、様々な施設から漂う年明けっぽい空気感というか清々しさ、ときに新鮮に響くまろやかな京都弁などは、出て行って初めて気づく京都特有の”懐かしさ”であり、今になっては余計に京都のことが好きになっていたりする。

場所も人もとても魅力的で、しかし何とも言えないじめっとしたものが流れる、そんな感じである。まさしく主人公凜の言う通りである(以下)。

 

”なんか、今を逃したら京都から一生出られへん気がしてて、それが息苦しいねん。家族に止められるから出られへんと思ってるわけじゃないで。私は山に囲まれた景色のきれいなこのまちが大好きやけど、同時に内へ内へとパワーが向かっていって、盆地に住んでる人たちをやさしいバリアで覆って話さない気がしてるねん”

 

以上

| 小説・エッセイ | 15:54 | comments(0) |
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