murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
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V字回復の経営 / 三枝匡
評価:
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■概要(Amazonより引用)

(前略)本書のストーリーは、事業再建を専門にするコンサルタントである三枝が、過去にかかわった日本企業5社の事業改革を題材にしたもの。ストーリーはノンフィションとフィクションの間、つまり5社での体験を素材に、どの企業にもあてはまる「経営改革のモデル・ストーリー」を構成したものである。

本書はフィクションであるが、それを感じさせない強烈なリアリティーを放っている。改革のもと、社内に生じる政治力学、葛藤、抵抗勢力とのかけ引きといった細部が徹底して描きだされているのだ。著者はストーリーの進行に合わせて組織硬直化の「症状」を分析したり、改革の「要諦」をまとめたりして、逐一処方箋を示していく。(後略)

 

■所感

本書含む著者の3部作は、日本のビジネスマンに勇気と活力を与える名著だと思う。

まず素晴らしいのは事業会社のリアルな描写。ステレオタイプ的な描写で終わりがちな所謂「日本企業」の風土、組織力学、政治性、現場の心情を小説形式で的確且つ辛辣に描いている(出席者の多い会議、管理者たちのすくみ合い等)。続いて改革の過程についての思考のアプローチから実行段階までを、論理面だけでなく人心掌握的な情緒面も含めて、水が流れるようなスムースさで伝えることができている。結果として読者は、自分の所属する組織に対する問題意識に確信を得られると共に、自分の持ちうる手段の乏しさや具体的行動の少なさを反省し、自分のこれからの仕事の姿勢を改める勇気と活力、そしてその具体的アプローチを得ることができる。個人的には、自分の進路を決めるうえでの大きなヒントと活力になった本でもある。

印象に残る描写が非常に多い。「業績の良い企業ほど社内は緊張感で満ちており、業績の良くない企業ほど緩い雰囲気」は納得。1作目の「危機的な企業の事務所に入るとすぐにわかる湿気を帯びた静けさ」に並ぶパンチラインだと思った。

 

■メモ

 崔楼茲瞭端貔」は本当か

社員が語る社内常識について事実確認をすることは常に非常に重要。とりわけ全国規模の企業で地域別にバラバラな施策を打っている会社で語られがちなのが「地域の特殊性」。この言説は、本社の戦略部門が進捗や施策効果をうまく把握できないばかりか、結果に対する言い訳に使われがち。また、戦略部門の機能停止にもつながりやすい。

本書では「特殊だと思っているのは本人たちだけで、客観的に分析すると大した特殊性など存在していないことが多い」と述べられている。

 

∧析力不足の壁

現状に危機感を抱いた人は、対策を考えると共にそもそもどうしてこんなことになったのかを自問し始める。結局、社内常識で語られる問題は表層的なもので、その裏にある真の問題を把握する必要があるからだ。しかしそれを見つけることは容易なことではなく、本書では「分析スキル」と「こだわり(執拗さ)」の2点において大きな壁があるとのこと。前者は論理的に議論し数字を重視する気風の弱さゆえにこのスキルに欠ける社員が多いため。後者は抵抗やそもそもデータがないという事態に遭遇することためである。の中に失敗に終わる改革は星の数ほどあるが、改革の切り口を正しく設定できるかはこの作業にかかっている。

 

6餮讐塾鷲埖の壁

総論だけで組織は変わらず、改革案を各部署の業務と管理にまで具現化していく必要がある。が、これが意外と難しい。現実には、現場がサボリを決め込んだり、あるいは本社側が現場に丸投げしてしまったりすることが起きる。ここで必要なのは、≦面な落とし込み能力、燃えるリーダーシップ、政治的軋轢を処理する能力が必要とのこと。

自分としては、大きな改革では実行部隊のトップを改革のチームに入れることが不可欠と考えていたが、本書では改革タスクフォースのメンバーが改革案立案後に実際に組織改編後の部門(カンパニー)トップに就くというアプローチをとっていた。単純な施策ではあるが割と目から鱗だった。

また、やはり組織改編や人事ごと抜きでの改革の成功など不可能と改めて感じた次第。

 

せ温

P100「改革の推進者と抵抗者のパターン」、P344「改革・八つのステップ」は必読。

 

以上

 

 

| ビジネス書(一般) | 18:28 | comments(2) |
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| - | 18:28 | - |
ぜひとも、とあるクラブの方々に読んで頂きたいですね。
取締役、社長含め誰も責任は取りませんが(失笑)

本の紹と見せかけての(皮肉?)には思わず
ニヤニヤとしてしまいました。
また鋭いブログをお願い致します。

追伸
そろそろクラブの試合批評を(^_^;)



| 通りすがりの(再び) | 2018/05/04 9:33 PM |
>通りすがりの(再び)さん

コメントありがとうございます。
皮肉のつもりはなかったんですが、偶然にもタイミングがはまってしまいましたね。
まあサンガがV字回復となるかはかなり怪しいところですが。

また体制が固まったところでサンガについても気が向けば書こうかなとは思っています。
しばらくは読書のメモみたいな記事が続きますがご容赦ください。
| ejimiuson | 2018/05/06 12:25 PM |









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