murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
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六月の勝利の歌を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメント
まるで長編の映画を見たような気分だ。
主人公は21人のサッカー選手と1人の監督。本作は日韓ワールドカップの日本選手団の宿舎入りから解散までを追ったドキュメンタリーである。

世の中には多くのスポーツ選手を題材にした漫画や小説があり、それらの一部は映像化もなされてきた。
しかしながら、本作に映し出された生身の人間たちの現実は、作り物のドラマを越えるほどのドラマ性を帯び、圧倒的な歓喜や悲哀を我々に訴えかける。

ナレーションもなく、宿泊部屋や食事会場、マッサージルーム、移動のバス、そしてロッカールーム、ハーフタイム、試合終了後の選手たちの素顔を淡々とカメラが映す。それらが絶妙な編集によって、ひとつの物語として完成される。見終わった後の余韻は、スラムダンク最終巻読了後のそれに近いと言っていい。 

意気揚々と現地に現れる選手たち。お互いの存在を笑いながら確かめ合う秋田と中山。常に冗談を言い笑いあっている選手たちの様子は実に微笑ましい。
一転ピッチに入れば、厳しい表情で至る所から要求が飛び交う。中田英が檄を飛ばす。
ミーティングでは、鬼の如き顔でトルシエが熱弁をふる。そして緊張の中、スタメンが告げられる。
お互いを鼓舞し合うロッカールーム。怒号と指示が飛び交う。いざ戦場のピッチへ。

輝かしい活躍を見せた選手の陰には、当然、ベンチを温める選手がいる。自己と組織のはざまに起きる葛藤。
ワールドカップ光と影だね、自虐的な笑みを浮かべながらそう語るのは怪我で戦線離脱を余儀なくされた森岡。リラックス的な意味合いの強いPK練習、意地かプライドか、川口は鬼気迫るセービングを連発する。自分が出られない中で、服部や中山などのベテラン勢は、スタメンを励まし、なにより気さくにサブを盛り上げる。

それぞれの葛藤を乗り越え、快進撃を続ける日本代表。しかし、終わりは訪れる。クライマックスのトルコ戦終了後、全試合でベンチを暖め続けた川口は静かに眼に涙を溜める。戸田は悔し涙でやりきれない表情を見せる。
そしてトルシエに肩を抱かれながら号泣の市川。市川はこの試合、後半からの出場ながら40分で交代を告げられていた。それに関わらず、トルシエは事あるごとに市川を怒鳴っていた。まな弟子にかけた最後の言葉はなんだったのだろう。

もうここらへんで、すでに目頭は熱くなってくるのだが、最後のロッカールームでの山本コーチの涙を拭いながらの言葉と、どこからともなく聞こえた選手の返答に、もう落涙必至。
本当に素晴らしいものを見せてもらった。

マンガのようなわかりやすいドラマ性があるわけではない。だが、個々の人間たちが織り成す感情の起伏、ぶつかり合いが築く現実というドラマは、心にただただ深く染み入ってくる。




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