murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
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長野まゆみ/鳩の棲家
とある私立高校の入試のときだったと思うが、現代文の試験の問題文として出題されたのが、この小説だった。登場人物の感情などを書ききらず不明瞭な形で文をつないでいくので、読者の想像の余地が多く、そのあたりが問題文に使われた理由だと思う。

高校受験といえど試験までにはいろいろと受験テクニックを叩き込まれているわけで、特に現代文なんかは暗記云々ではなくそういう側面が大きかった。しかしながら、この国語の試験時間中、自分は主語を見極めるとか主観を排するとかそういったもんを完全に忘れ、物語の世界に没頭していた。

昔の小学校とか古い家屋とか懐かしさを感じる情景の中で、少年たちの美しく、しかし無力な友情が映し出される。試験中とはいえ、旧字体を織り交ぜた簡素な文体で描かれた静寂な世界は、無常で、どうしようもなく、その切なさに胸を痛めずにはいられなかった。


国語の試験が終わり、昼休み。なんというかポッカリと心に穴が空いたかのように、無意識に物思いにふけってしまった。出題箇所もよかったんだろうが、思春期の自分の心には、静かに強く響く作品だった。

受験戦争の束の間の、いい出会いだったなと思う。
| 小説・エッセイ | 20:46 | comments(0) |
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