murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
草場道輝 / ファンタジスタ☆ステラ 第一巻

個人的には、本作の前作にあたる「ファンタジスタ」は、数あるサッカー漫画の中で最高傑作だと考えている。
というのも、それまでのサッカー漫画にありがちだった必殺技のごときシュートやドリブルがこの漫画には一切ない。相手DFとの駆け引きや味方との連携、一つひとつのプレー毎のひらめき・判断といった現実的な要素を軸にプレーを描いており、且つそれをドラマティックに見せることに成功している。また、各キャラクターの心理描写も非常に丹念で、そんなキャラ同士が織り成すピッチ外での葛藤には多分に感情移入できるものがあった。
これほど真摯にサッカーというスポーツに向き合った漫画は今もなおないだろう。

で、その続編となる本作、当然ながら楽しみにしていた。本田の起用という如何にも失敗しそうな要素さえ、この漫画であればうまく料理できるのではないか、と思っていた。

結論としては、おもしろかった。
内容としては本田をほぼ主役級の扱いで起用し、所属クラブであるCSKAでの日々を主に描いている。ボランチ起用についての監督との葛藤やロシア代表ザゴエフらしきライバル選手との火花散るやりとりなど、現実の出来事をベースにした展開に、サッカーファンがニヤリとさせられる箇所がいくつもちりばめられている。著者の長所である心理面の描写のうまさが存分に生きていると思う。

ただ、確かにおもしろい、おもしろいのだが、読み進めていくうちに、これはファンタジスタとしてやる意味があったのだろうか、という気持ちが芽生えてくるのも事実。本田のキャラ及びまわりの環境が本当に現実通りのため、強烈な個性を持つ従来キャラとのやりとりにどうも違和感を覚えてしまい、本来の主人公坂本のレアル移籍などのイベントがむしろ邪魔とすら感じてしまうのだ。

 
そもそも読む前は、本田をあくまでスパイス的に使うものだと考えていた。従来キャラの相関関係に刺激を与える魅力的な脇役として登場するのだ、と。
が、蓋を開けてみれば内容は「本田圭佑物語」の如し。それだけに、本田圭佑物語にファンタジスタのキャラが現実キャラの写し(坂本⇒香川など)として登場しているような感覚があり、ファンタジスタ続編を楽しみにしていた自分としては若干複雑な気持ちがある。話自体を楽しんだ一方、そうした違和感が最後まで拭えなかった。
あとは、見ての通り表紙における本田の絵のバランスが笑っちゃうくらいに悪い。なんとかならなかったのだろうか。こちらも違和感がすごい。
とはいえ、表紙はともかく内容に関しては、上記のような現実とファンタジーの違和感は巻を重ねる毎になくなっていくのだと思う。おそらく今後は現実の展開を離れていくのだろうし、そもそも次巻以降は話のスポットが別キャラに変わっていくのかもしれない。次第にファンタジスタの一キャラとして本田を感じられるようになるだろう。
なんにせよ、単行本を集めようと思える久々の漫画である。それが純粋に嬉しい。次巻以降が楽しみだ。
| 漫画 | 20:58 | comments(0) |
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