murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - |
社会人大学人見知り学部卒業見込 / 若林正恭

■概要(Amazonより引用)

若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。芸人・オードリー若林の大人気エッセイ、単行本未収録100ページ以上を追加した完全版、ついに刊行!

 

■所感

現在はもう人見知りを卒業したというオードリー若林が、まだ人見知りだった頃に出したのが本書。

ここまでとは…と驚くくらいの自意識の高さだが、だからこそ自問自答の先にたどり着いた答えの中には本質を突くものも存在する。

何より各エッセイの根底を支えるのは、実はどこまでもひたむきな前向きさである。

同じ「人見知り学部生」の読者がきっと共感できるのは、自虐的な内容そのものよりも、この生きづらい世の中を笑いに変えながら懸命に生きる姿勢なのかなとも思った。

 

■メモ

印象に残った部分を抜粋。

  • 「今、幸せですか?」と質問された作家が「…ジェットコースターみたいなものかな」。わざわざ怖い思いをするために時間をかけて並ぶ、絶叫しながら乗る、二度と乗りたくないと思う、でも充実感がある、だからまた次のジェットコースターに並んでしまう。
  • 好きなものは好きでいいじゃない!そうはいかない。好きなものを好きでいるために、自分の感覚に正直でいるために場を選ぶのである。
  • 知り合いのおじいちゃんの言葉「いいかい。この世に存在する理由には二つあって。一つは何かをしているから存在していいということ。例えば、会社にいてちゃんと働いているからその会社にいていいって思えるみたいなこと。二つ目は生まれてきたら、なんの理由も無くこの世界に存在していいということ。リストラされたりして自殺しちゃったりする人は一つ目の理由が全てだと勘違いしている」
  • 何をしているときが楽しいときか、自分を俯瞰を見ていない状態の行動がきっと楽しいとき。
  • 感情を時に隠ぺいする、それが礼儀でいいのではないか。
  • 最初は風習とルールに自分も馴染まなければと、自分の心を変えようとしたけど、それはしなくてもよかった。ルールと風習に従おうとすることこそが重要で、そうすることが「社会」への参加意思を示すものだから。

 

 

以上

| 書籍 | 00:07 | comments(0) |
人事制度関連書籍3冊の感想

今回紹介する3冊はいずれも人事制度の構築方法を説明したもの。急遽仕事で基礎的な人事制度の基礎的な知識の復習が必要になったためややパニックバイ的に購入した次第。

が、結果的にはほとんど役に立たず終わってしまった。

いずれの本も素人にもわかりやすい作りにはなっているのだが、非常に浅い理論と狭い視野の中で作られた感が否めない。

具体的な問題点としては大きく3つある。

 

問題点 ヾ霑壇な理論に基づいていない

人事制度の理論は深い。人事制度は、それがどれだけ不公平で、どれほど年功的だろうが、多くの場合それが作られた当時はそれなりに合理性があるという事が非常に多い。

ひどい制度に見えても、それは社会が変化する中で制度が古くなっただけであり、だからこそ安易に表層だけを見て変えることは許されない。

その中身の細部の一つひとつに理屈が存在するし、何だったら計算式の係数や割合の一つにも意味がある。

だからこそ制度改定にあたって、等級・評価・報酬の理論をきちんと学ばずにこういった書籍に飛びついてしまうことは非常にリスクがある。

 

その点、『30日でつくれる…』のあとがきには、「理論ばかりを追求した結果、無意味な制度ができるよりは、はじめの一歩を踏み出した方がいい」といった趣旨のコメントがある。

言いたいことはわかるし、制度はどこまでシンプルであるべきだと思う。

が、それは「あえて」シンプルにすることが重要であって、何も知らずにそぎ落とすことは、社員の動機付けのみならず、企業の競争力や法的観点を見逃すリスクを孕んでいる。

人事制度は会社の根幹であり、だからこそそこにはしっかりとした学習と時間をかけるべきであると思う。

 

問題点◆|碓譴諒法だけを紹介している

人事制度に正解はない。会社の数だけ正解があるわけで、そもそも一つの方法論だけを紹介していること自体がナンセンスである。

各書ともにそのあたりの注記がないままに内容が進んでいくため、会社にフィットしないものを作らせてしまう危険がある。

 

問題点 煩雑である

人事制度は今も進化を続けている。最近では、AやBといった評価(考課)を報酬に反映しない会社や、そもそもそういった評価をせずに育成目的の面談だけを行う会社も出てきている。

要は人事部が理論的な無謬性ばかりを追求した結果、社員の誰もが得しない面倒な人事制度になっていることに皆が気付き始めているのだ。

そういう中で、この各書に記載されているような悪い意味で古典的な制度はそれこそ現代に合わない。

『人事・賃金コンサルティング』においてPCのことを著者が「コンピューター」と呼んでいるが、要はそういう時代の、あるいはそういう著者の本であることを認識しておかねばならない。

 

 

というわけで、「誰もが馴染みがあるが、実はめちゃくちゃ深い」のが人事の世界なので、人事制度関連書籍の購入を考えている方においてはぜひ注意深く書籍を選んでもらいたいと思う。

 

以上

 

| 書籍 | 23:13 | comments(0) |
日本代表を、生きる 「6月の軌跡」の20年後を追って / 増島みどり

■概要(Amazonより引用)

1998年フランスW杯を戦った「日本代表」の物語は終わっていなかった。
W杯初出場の扉をこじ開けた者たちの、それから。

日本代表がW杯初出場を果たした歴史的な1998年フランス大会から20年。当時の日本代表、スタッフはどうしているのか? 様々な人生を歩みながら、彼らは今もあの経験と向き合い続けていた――。

著者が選手スタッフ39人に取材して、初出場した日本のフランス大会を克明に描いた『6月の軌跡』(文藝春秋、のち文春文庫)から20年。W杯ロシア大会を前に、あらためて当時のメンバーにインタビューをし、W杯の扉を開いて以降、それからの人生を追った。
驚いたことにカズをはじめまだ現役である選手が6人もいる他、指導者になった者もいれば、変わらずサッカー界で働くスタッフもいた。彼らの目に今に浮かぶ光景とは。(略)

 

■所感

冒頭の市川の引退試合から始まる旅の始まりの描写には、これ以上ないほどにワクワクさせるものがあった。が、全体を読み終わった感想としては、やはり短いインタビューでは限界があり、話によってはもっと掘り下げて描写してほしい部分がたくさんあった。39人のインタビューということで当然やむを得ないのだが、やや「6月の軌跡」の焼き直しに終わったインタビューも正直存在する。よって、期待値が高すぎた分、やや肩透かし感がある(中田英寿のインタビューがないのも、著者に責がないが、大きなマイナス)。

一方で、著者が言う通り当時の選手たちが今も全員サッカーに関わっているというのは驚きの事実であり、あの最終予選、そしてワールドカップは、選手にとって岡田武史が言う「遺伝子にスイッチを入れる」経験だったのだなと。それは、観ていた側の人間にとってもきっとそうで、特に自分にとって「日本代表」とは今もあの98年の代表であり、大げさに言えば小さな原体験として今も生きるうえでの活力になっている。

いつか自分も、人生の転機となる「遺伝子にスイッチを入れる」ような体験に当事者として身を投じたいと、改めて強く認識できた本だった。

 

以上

 

 

| 書籍 | 21:36 | comments(0) |
失敗の本質 日本軍の組織論的研究 / 戸部良一ほか  
評価:
戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎
中央公論社
¥ 823
(1991-08-01)

■概要(Amazonより引用)

敗戦の原因は何か? 今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光をあて、日本の企業組織に貴重な示唆を与える一冊。 

 

■所感

言わずと知れた名著である。本当に胸糞の悪いエピソードばかりである。しかし残念ながら、結局にここで描かれている現象(規律より慣行、合理より情理、ご都合主義、責任者不在)は、現代の官公庁、日本企業でいくらでも起きている光景である。もはや国民性といって差し支えない。

逆に言うと、そうした日本人の性弱説に立って組織を設計・運営することが依然として最重要であるとも言える。改めてそうした基本的な戒めを思い出させてくれる一冊である。

 

以上

| 書籍 | 21:15 | comments(0) |
礼儀作法入門 / 山口瞳

■概要(Amazonより引用)

礼儀作法とは何か。それは「他人に迷惑をかけない」ことだと、山口瞳はいう。そのためにも「まず、健康でなくてはならない」と。世に作法の本は数あれど、礼儀を人づきあいの根本から教えてくれる書物は意外に少ない。「電話いそげ」「パーティーの四つの心得」「なぜか出世しない通勤の天才」など、金言の数々も心にしみる。とりわけ社会人初心者に贈りたい人生の副読本である。

 

■所感

偏屈で、しかし憎めない、粋なおじさんの持論が語られている。ところどころ時折ハッとするような表現があり、突飛なようで生きることの本質を突いた良書だと思う。

何気に最も心に残ったのは、山口瞳研究家を自称する作家の中野朗氏によるあとがきで、こうある。

「「箸のあげおろしの一刻一刻が人生だ」という思いは、山口瞳氏の生活者の覚悟である。人生如何に生くべきか、ではない。今をどう生きるかが氏にとって最重要事項だった。」

 

著者は、それこそ灰皿の形や箸置きの品質など、細部に至る生活の品々や品行に持論を述べていくが、この生活への「こだわり」こそがまさにその人の人生を生きるということなのだと思った次第。

 

■メモ

パンチラインは以下の通り。

  • 食べる、飲むと言う事に関して言えば、それで全て事足りるのである。事は足りるのであるが足りないものがある。この足りない部分が、私たちの日常の「生活」であり「味わい」というものなのではないだろうか。
  • 私においては、お茶を飲む、食事をするという、いわば箸のあげおろしの一刻一刻が人生だという気持ちが抜きがたいものになっている。高遠なる理想は私には縁がない。むしろ、小さな食器、それを造った職人の心、そこから人類の歴史にせまりたいという気持ちが強い。

 

以上

 

| 書籍 | 21:01 | comments(0) |
論点思考 / 内田和成
評価:
内田 和成
東洋経済新報社
¥ 1,728
(2010-01-29)

■概要(Amazonより引用)

最も重大な過ちは間違った問い、不要な問いに答えること。成果を出すには、「正しい答え」ではなく、「正しい問い」が重要だ。正しい論点で問題解決力が劇的に向上する。

 

■所感

会社の上層から降りてくる課題というのは、まあ本当に頓珍漢なものが多いというのは実感としてあることで、表層的な課題であったり、脊髄的反射的に飛びついた課題であったり、目的と手段を履き違えたような課題であったりと、問いを立てる能力は本当に重要だと思う。実は多くの人がやらなくてもいい仕事をやっているのもここに起因しているのではないかと思う。

そういう意味で、改めて問いの立て方を示した本書は、基本的でありつつも重要な「論点」を示した書籍であると言える。

 

■メモ

  • 一般的な問題は論点にならない。そういう問いは本当に問題かを問う必要がある。例えば、リクルート社は若手がどんどん離職・独立していくが、一方でそうした志向を持った人材が該社の強さでもある。「本当にそれが論点か」と常に疑う姿勢が重要。
  • 白黒つけられそうなところからアプローチしていくのがよい。論点が様々ある中でそれが社会全体の問題なのか、個社の問題なのか徐々に整理されていく
  • 依頼者があまり関心を持っていない領域にこそ問題が潜んでいたり、宝の山があったりする可能性が高い。
  • 相手を「わくわく、どきどき」させる提案であるかは重要。なぜなら問題解決を実行するのは人間だから。
  • 情報はストックすることに一所懸命になりすぎず、「意識にフックをかける」をかけるくらいの感じでよい。
  • 問題解決のプロセスは行きつ戻りつするのが現実。一方向ではない。設定した論点が違っていた、設定した解決策の仮説が違っていたというのはよくある。

 

以上

| 書籍 | 20:39 | comments(0) |
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」/ 細谷功

■概要(Amazonより引用)

企業、特にコンサルティング会社の採用現場などでは、単に頭がいい人ではなく、「地頭のいい人」が求められている。
インターネット情報への過度の依存が思考停止の危機を招き、検索ツールの発達による「コピペ(コピー&ペースト)族」が増殖しているいま、「考える」ことの重要性がかつてないほどに高まっているからだ。これから本当に重要になってくるのはインターネット
やPCでは代替が不可能な、膨大な情報を選別して付加価値をつけていくという、本当の意味での創造的な「考える力」である。本書ではこの基本的な「考える力」のベースとなる知的能力を「地頭力(じあたまりょく)」と定義している。(略)

 

■所感

本書は、よく世間で言われる「地頭」というワードを、これ以上ないほどにわかりやすく、そして美しく整理している。下手をしたらP15だけ読んでも十分理解できるくらいだ。読後以降、「ああ、あの人がいう"頭が良い"って地頭力のうちのこれを言ってたんだな」と思う瞬間が何度かあった。まさに地頭の良さを著者自ら表現している名著である。

 

■メモ

  • 「頭がいい」は3つの区分「物知り」「機転が利く」「地頭がいい(思考能力が高い)」に分けることができる。
  • 従来の社会環境においては、知識量で他人との差別化が図れたため、「物知り」が重要であった。これが年功型の会社文化を支える基盤であった。が、現代のネット社会において情報格差がなくなり、さらに不確実性が増した結果、「地頭の良さ」に重要度がシフトしている。
  • 地頭力は3階層に分かれ、最下層のベースは「知的好奇心(WhatでなくWhy型)」であり、その上に左脳的な「論理的思考力」(守備の役割)と右脳的な「直観力」(攻撃の役割)がある。その上に3つの思考力「仮説思考力(結論から)」「フレームワーク思考力(全体から)」「抽象化思考力(単純に)」が存在する。
  • _樟盪弭洋呂老誅世ら考える思考力であり、「はじめでなくおわりから考える」、「できることでなくやるべきことから考える」「自分からでなく相手から考える」「手段からでなく目的から考える」ことと言える。課題(前提条件)を定義し、情報が足りなくても立ち止まらないことが重要になる。
  • ▲侫譟璽爛錙璽思考力は全体から考える思考力であり、相対座標(当事者のみに通用するものの見方)ではなく絶対座標(誰にでも誤解のないものの見方)で語る力と言える。一歩引いて俯瞰から考える癖をつけるということであり、頭の中で箱を用意し、それに当てはめて因数分解するステップを意識することが重要となる。
  • C蠑櫺住弭佑話噂磴帽佑┐觧弭洋呂任△蝓∨楴舛鮓極めて単純化する力と言える。この能力により、一度物事を抽象化して上位階層に上げて考えることで本質的な解決策を様々な方法論から考えることができる。この能力の向上に向けては、事象の特殊性を排し、アナロジー(類推)、すなわち異なる領域のものを共通点から参照する力が重要で、例え話のうまい人がこの能力が高い人と言える。
  • 個人的には、の能力に特に不足を感じている。

 

以上

| 書籍 | 19:59 | comments(0) |
サイコパス / 中野信子

■概要(Amazonより引用)

とんでもない犯罪を平然と遂行する。ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう…。脳科学の急速な進歩により、そんなサイコパスの脳の謎が徐々に明らかになってきた。私たちの脳と人類の進化に隠されたミステリーに最新科学の目で迫る!

 

■所感

知人から勧められて読んだ本であるが、うーん…不思議な本である。

まず、そもそも「サイコパス」が最初から最後まで定義されない。様々な文献を基に特徴は列挙されているのだが、そもそも「サイコパスとは何なのか」が定義されないまま話が進んでいく。ちなみに、著者の話を総合すると、「外見や語りが過剰に魅力的で、ナルシスティックである」「恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも堂々として見える」「多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり危険に思ってやらなかったりするとことも平然と行うため、挑戦的で勇気があるように見える」「お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方につけていたり、崇拝者のような取り巻きがいたりする」等々(他にもいくつもの特徴が随所に列挙されている)の特徴があるとのことだが、本質的に何を指すのかがはっきりと示されない。

にも関わらず、やれ「勝ち組サイコパス」や「負け組サイコパス」がいると言ったり、サイコパスをモテる理由を唐突に持ち出したり(妙に学術から離れた俗っぽい表現や話である)、有名な大量殺人犯から炎上ブロガー、オタサーの姫、果てには織田信長、毛沢東、マザー・テレサまで、サイコパスであった可能性がある等と言ってみたりと、全く言説が腑に落ちてこない。

何より、一冊を通して著者の主張がない。あらゆる学説を部分的に引っ張ってくるものの、この本を通して何を言いたいかが存在しないため、「So What(だから何?)」が付きまとうばかりである。文章表現も、「…かもしれません」「…という考え方もできるでしょう」「…多いそうです」などといった表現が多数存在する。

強いて言えばあとがきに「(サイコパスについては)残念ながら議論が尽くされているとは言えません。(中略)好むと好まざるとにかかわらず、サイコパスとは共存してゆく道を模索するのが人類にとって最善の選択であると、私は考えます」と締めているが、そりゃそうだろうと。「君、サイコパスだね。死刑!」と殺していくわけにはいかないんだから。

 

まあそもそも、帯の妙にゴシップな雰囲気や、冒頭で脈絡もなく「私はかつてMENSA(人口上位2%の知能指数を有する者が入れる団体)のメンバーでした」との記述等、本書の底が知れる個所がいくつもあるわけで、そのあたりで一旦読み進めるか考えるべきではあった。

それにしても知人はよく本書を他人に薦める気になったなと。不思議な思いは募るばかりだ。

 

■メモ

数少ないが。

  • 著者の主張で一貫しているのは、サイコパスは他人の痛みへの共感が乏しい、ということ。
  • 偏桃体は人間の快・不快や恐怖と言った基本的な情動を決める場所。サイコパスは偏桃体の活動が低い、とのこと。

 

以上

 

| 書籍 | 14:53 | comments(0) |
劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか / 山口周

■概要(Amazonより引用)

日大アメフト部監督による暴行指示と事件発覚後の雲隠れ/神戸市や横浜市の教育委員会等によるいじめ調査結果の隠蔽/財務省による森友・加計問題に関する情報の改竄・隠蔽/大手メーカーによる度重なる偽装・粉飾・改竄/日本ボクシング連盟会長による助成金の不正流用や暴力団との交際――いいオトナによる下劣な悪事の数々は必然的に起きている! 

 

■所感

上記のような不祥事に限らず、現在会社に勤める20~30代は常々、自社の幹部の人たちに漠然とした違和感を感じているのではないか。それは「強烈な階層意識」、「規律やモラルより慣例を遵守する姿勢」、「合理よりも情理を重視する仕事の進め方」、そしてそれらが幹部全体に共通しているという「大人たちの同質性」といった性質だと思う。

本書は、そうした性質がどのように生まれていたかを時代背景の切り口から解き明かしており、頭の整理にとても良い。

一方で疑問に感じるのは、その理屈で言えば現在の50・60代が引退した先には、より現在の時代に即した幹部が出でてくるという仮説が成り立つわけだが、本当にそうなのかという気もする。自分としては、生きてきた時代背景による違いはあれど、そもそも人という生き物自体が、従来考えられていたような年齢とともに知的に向上していく前提の生き物ではなく、極端に言えばむしろ一定の年齢を境に幼児化していくような性質を持っているのではないかと思っている。(周辺のおじさんたちを見ると、幼い人多くないですか?)。一概にそう言えるわけではないし、まだ明確な根拠を持っているわけではないが、そういう視点も各社の人事制度(特に等級制度)を考え直すうえで必要になると思う。

 

■メモ

  • P20の表はわかりやすい。ただし、知的水準に関する記載は若干根拠に欠ける。
  • 能力も成果も正規分布ではなくパレート分析している。三流が数の上では圧倒的多数であり、三流が支持される二流がトップに立つ構造がある。
  • 「オッサン」の特徴として、配下の人からのフィードバックがないことにより、自分の人格や人望について勘違いしている人が多い
  • 日本企業では「人的資本」(スキルや知識、語学力等)と「社会資本」(人脈や評判、信用等)が会社の内側に閉じて形成されやすい。結果としてモビリティ(市場価値)が上がらない。わかりやすい例が多くの企業における副業の禁止。これが結果として、エンプロイアビリティを低下させ、リテンション以前にアトラクトができなくなる、という構造にまで発展している。
  • P122のリーダーの変遷(支配型のリーダー→サーバントリーダー)はわかりやすい。支配型リーダーの元においては、最悪「何を言っても無駄だ」という「無気力状態」に陥る。
  • 「人が最も変化しやすいのは、新たな経験と既存の自分が持つ理論がぶつかるとき」(サンドラ・ジョンソン他)
  • 人材が育成できていないのは、良い業務経験を積ませられないことが大きい。それは、良い業務経験を積めるポジションに年長者が座っていることが多いから。

 

以上

 

| 書籍 | 14:14 | comments(0) |
世界で最もイノベーティブな組織の作り方 / 山口周

■概要(Amazonより引用)

イノベーションを生み出すための組織とリーダーシップのあり方とは?組織開発が専門のヘイグループに所属する著者が、豊富な事例やデータをまじえながら、柔らかな文体で解き明かす!

 

■所感

もはやビジネスにおける流行語とも言える「イノベーション」に関する誤解を明確にするとともに、実現するための重要要素である「組織風土」について明快に解説してくれている。

読んで思うのは、いかに今の日本の大企業の環境がイノベーションに適さないかということ。組織の構造やリーダーシップの在り方、個人の属性、階層意識など、解決すべき課題が多すぎる。しかもそれぞれが密接に絡んでいるという難しさもある。もはや、日本の大企業がイノベーションを生み出す体質になるのは不可能とすら感じてしまう。

その解決策だが、これら多数の課題に真正面から網羅的に取り組んでも、結局これまでの失敗を繰り返すことになることが明白なわけで、結局は個々の会社におけるクリティカルな課題の解決に狙いを定め、そこから突破口を開いていくしかないと思った次第。

 

■メモ

本当に多くの示唆があった。

  • 組織風土とは、「経験的に学習された行動・意思決定のパターンの集積」
  • イノベーションの推進において主導的な役割を果たすのは、「若手」か「新参者」(非専門家)。にもかかわらず、日本(韓国等も)の多くの企業の組織では、目上に反論したり意見したりすることに心理的な抵抗がある。しかも、シニア層が組織の大部分や上層を埋めている。
  • 「部下の反対意見に耳を傾けています」→「誰も反対意見を述べないときには、どうやって反対意見を集めますか」→「…」。「聞き耳のリーダーシップ」が足りない。
  • マクラレンドの社会性動機の区分「達成動機」、「親和動機」、「パワー動機」。
  • 人の行動が変わるメカニズムを、「就業ルール」や「オフィス環境」といったハ―ド要因と「リーダーシップ」や「コンピテンシー」といったソフト要因に分けて、絡めて形成できるかが重要。例えば3M社では、戦略的な遊びとしての「労働時間の15%を自由な研究に使ってよい」とする一方、規律「新商品の売上高比率」で厳しく管理することで「イノベーションに関する取引市場」を社内に作っている。一方で日本の多くの企業では、「労働時間を遊び(自由研究)に使うことは許されない」で、結果を出せない責任者が続投し続けるなど「規律もなし崩し」になっている。「遊び」も「規律」もない中で、イノベーションに向けた動機づけを行うことはできない。
  • イノベーションは予定調和では起きない。論路的に正しいことは他社との差別化につながらないわけで、論理的な解を追い求めていった先には他社との差別化はないどころか、スピードですら負けてしまう。
  • 組織が行う意思決定のクオリティは、構成員の能力よりも構成そのものやルール、プロセスに左右される。(ケネディの議論の進め方より)
  • 意思決定で確保されるべき特性は「多様性(バックグラウンド)」「独立性(他社の意見に左右されない)」「分散性(自分なりに情報収集できる手段がある)」「集約性(意見をまとめるメカニズムがある)」の4つ。
  • 意思決定の質は情報量ではない。よって上級管理職の知見が古くなる中で、組織の重要な意思決定を一部上層部にブラックボックスの中で任せることが非合理になっている。
  • リーダーシップのスタイルは、その会社の置かれている状況に応じて変わる。常に指示命令型が悪いわけではないし、常にビジョン型がいいわけでもない。
  • ビジョンに求められる最も重要なポイントは「共感できること」。Where(ここではないどこか)、Why、Howを満たすこと。
  • ビジョンを示すのはトップだけの仕事ではない。上の人間がビジョンを示せていなくても、その立場に応じた形でビジョンを提示することが求められる。

 

以上

| 書籍 | 13:38 | comments(0) |
+ Twitter
こちらです。 エジミウソン@ejimiuson11
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ PR
無料ブログ作成サービス JUGEM