murasaki

記憶の記録。あるいは独白。
確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 / 森岡 毅, 今西 聖貴

■概要(Amazonより引用)

世界屈指のマーケター&アナリストが、USJに導入した秘伝の数式を公開。

ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっている。
その確率はある程度まで操作することができる。

八方塞りに思える状況でも、市場構造や消費者の本質を理解していると、勝てなさそうに見える局面や相手に対しても勝つチャンスのある戦い方、つまり勝つ確率の高い戦略を導き出すことができる。
その戦略を導き出すのが「数学マーケティング」である。

 

■所感

まさに森岡氏の集大成と言える内容であり、その数学マーケティングの知見を余すことなく掲載している。

だが、平均的な数学リテラシーを考えれば、このメソッドをそのまま活用できる担当者はかなり限られると思われる。実際自分も数式に関しては割と序盤からよくわからなかった。

 

それでも本書が提示した重要な価値は、数字を代表とした、合理的・論理的な準備を徹底したうえで、最終的な意思決定を行うことができることを示したことにある。それがあることで意思決定の成功確率が上がり、何より後世の組織学習へとつなげることができる。

よって、ここに書かれているのは、戦略という非常に抽象的なものを、因数分解して仮説を立てられるレベルに落とすことの意味であり、本質的にはその各要素は数式でなくてもよいのだと思う。


「日本人はもっと合理的に準備してから、精神的に戦うべき。」

 

あとがきのこの一文こそが、本書の一貫したメッセージなのだろう。

 

 

■メモ

  • 市場構造を形作っている本質「プレファレンス」。プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスで構成されている。
  • 市場競争とは、1人1人の購入意思決定の奪い合いであり、その核心はプレファレンスである。
  • 戦略の焦点は3つ。ー社ブランドへのプレファレンスを高める、認知を高める、G朮戮鮃發瓩襦
  • 認知の本質は消費者の「エポークド・セット(買ってもいいと思っているいくつかのブランド群)」に入っているか。
  • 自社ブランドが、それぞれの小売店にとって「確たる役割」を果たせるのかが非常に重要。小売店の売り上げ単価なのか、利益額なのか、利益率なのか。
  • プレファレンスの垂直拡大よりも、水平拡大の方が成功する場合が多い気がする。既存のユーザーを耕すより、その外を耕す方がマーケットがずっと大きいから。
  • 年間購入者の割合:認知率×配荷率×過去購入率×エポークト・セット率×年間購入率
  • プレミアム・プライシングは正しい。中長期の観点でブランディングを考えた場合、付加価値のあるブランドとして成立していることが重要。
  • 市場調査は主に仮説を生み出す「質的調査」(消費者の観察、訪問インタビュー、フォーカスグループインタビューなど)と仮説を検証する「量的調査」(使用実態の調査や製品のパフォーマンステスト、コンセプトテストなど)に分かれる。
  • 消費者の本質的ニーズは変わらない。変わるのはそのニーズを満たすカテゴリー便益の製造方法と個々の消費者への便益の配達方法、そのカテゴリーを構成しているブランド。
  • 上記の前提のもと、自身が取り扱うカテゴリーとその上位カテゴリーの本質(消費者が求める便益)を質的調査で見極める。次にそれを基礎に法則性を見出す。
  • 今まで見てきた新製品で、3か月までの売り上げが予測と大きく異なり、それでも生き残った製品はない。
  • 一人あたりGNPはその国の社会の発展段階を示す良い指標
  • 予測値がベンチマークの数値とつじつまが合わない場合、仮説を見直す。結局、仮説、仮説に対する予測値、ベンチマークの実績値の3つが、辻褄が合い、自分自身にとって論理的にも感情的にもしっくりくるまで試行錯誤する。
  • プレファレンスの相対的関係での比較で注意すべき3点: |傭覆砲茲覬洞舛強すぎる、∩択肢の粒感(〇ミカン、×夏みかん)、I竺笋譴魑こさないか(例えばおでんの具材で、ねり物好きではちくわとかまぼこで割れてしまう)
  • 群衆の知恵が成立する要素 : 参加者それぞれが相互に独立していること、考え方の多様性がある集団であること。
  • 振り返りを行わないやりっぱなし文化をなくすために、PJをリードした実務担当者が結果を分析して学びを抽出し、組織全体に共有するプロセスがシステマチックに月次・シーズン、PJごとに振り返るシステムを導入している。
  • 完璧な組織はない。組織構築の選択は、わかったうえでその組織の弱点をどこに作るのかという意図的な選択。
  • 上司としての最大の仕事の1つは、自分自身の認識を変えることで、組織の人的資源を増やすこと。

 

以上

| ビジネス書(一般) | 12:10 | comments(0) |
マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド / 森岡 毅
評価:
森岡 毅
日経BP
¥ 1,728
(2018-05-24)
コメント:マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド / 森岡 毅

■概要(Amazonより引用)

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を劇的な再生に導いた後、
マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立、
マーケティングによる日本の活性化に邁進中の戦略家、森岡毅氏の待望の最新刊! 

なぜ、日本企業はマーケティングを活かせないのか?
なぜ、あなたの提案は通らないのか? 
実戦経験を極めた著者が、あなたを成功に導く<組織論>

【第一部】 組織に熱を込めろ! 〜「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質〜

【第二部】 社内マーケティングのススメ 〜「下」から提案を通す魔法のスキル〜

【特別対談】 成功者の発想に学べ! 〜起点となって世の中を変えた先駆者たち〜
 

■所感

やや★2寄りの★3という感じ。

というのも、本書は3部作だが、3部はそれぞれ独立しており、タイトルにつられて組織活性化観点で本書を手に取った場合はややボリューム的に物足りなさが残る。特に、第一部においては、挙げられる施策が「会議」の在り方を中心とした内容になっており、ある程度参考にはなるものの、その導入のHowやそれ以外の施策についてはあまり触れられていない。

また著者の書籍では珍しくやや全体の構造がわかりにくいのも難点で、森岡氏の会社のためのマーケティング先行で急いで発刊した感もある。

 

一方で自分としてはそれほど興味がなかった第二部は、社内マーケティングという珍しいテーマを具体的に掘り下げており、納得感がある。結構面白い。

 

尚、第三部はあくまで対談で従来の主張を簡潔に述べているに過ぎず、あまり価値は感じなかった。

 

■メモ

【目指す組織】

  • マーケティングドリブン(消費者価値基準)な組織は、市場構造に合わせて自己変革できる生存確率の高い組織
  • 会社を支える機能:.侫.ぅ淵鵐好轡好謄燹↓▲沺璽吋謄ングシステム、生産マネジメントシステム、その3つの基盤となっている「組織マネジメントシステム」
  • マーケティングドリブン(消費者価値基準)な人や組織を作る第一歩が組織マネジメントシステムの構築

 


【組織の本質的問題】

  • 性別差、年齢差、役割差が組織内コミュニケーション不全を起こす。それが組織のボトルネックになる。
  • 人間の本質は自己保存である。自己保存は自分の生存確率を最優先にすること
  • 例:頑張って勉強するのもいい生活をするための自己保存、人に親切にするのも自分の存在価値を確認したい自己保存、結婚して子を生すのも遺伝子の自己保存、著者が本を書くのも自分の思索を誰かに伝えて遺したい自己保存
  • 「個」の自己保存にとって「群れ」(会社)は手段である。一方で会社は会社存続を第一目的に掲げているので、組織と個人は利害相反の関係にあることを念頭に置く必要あり


【組織変革の要点】

  • 組織にとって正しい行動をとることが個人としての自己保存を実現するような仕組みが必要
  • ’箴絽上のために人々が好ましい行動を取る確率を上げる(マーケティングシステム)
  • → メモ:上記の建付けと重複している
  • ∩反イ僚斗徃獣任里燭瓩某諭垢好ましい行動を取る確率を上げる(意思決定システム)
  • 2饉劼望む方向へ人々を動機づける確率を上げる(評価報酬システム)


【意思決定システム】

  • 会議とは人を働かせるための儀式。自己保存の意識にしたがい、会議出席者は人前で恥をかきたくない、よく思われたい、という感情を利用する。
  • 「誰がどこで何を決めているかわからない組織」は、誰もが公に恥をかかなくてすむ仕掛けになっている
  • 自己保存をうまく利用する。議論ができ、意思決定者が明確な、意思決定を必ず行う(ガチンコの)会議があれば、そこに徹底的な準備をしてくるし、さらに全体的な利益に反する発言は逆に自己保存のリスクがある。
  • USJでは、社長が出席しないオープンな議論・意思決定の場を作った(社長と各部門の一対一では情報も共有されない)
  • → メモ:ただし、自己保存リスクに基づく会議はベターではあるが、ベストなのか(準備はするけど、発言自体は委縮する可能背もあるのでは)
  • 会議のアクションサマリー:〔榲、結論、7誅世忙蠅辰人由、し誅世亡陲鼎関係者が次に取るべきアクション(誰がいつまでに何をするのか?)を速攻でまとめて関係者に提出するルール
  • これらにより意思決定を完全に見える化した
  • 但し、活発な議論が行われるまでは1〜2年かかった

以上

| ビジネス書(組織・人事) | 01:41 | comments(0) |
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 / 森岡 毅

■概要(Amazonより引用)

2015年10月には過去最高の月間175万人を集客し、USJの3倍の商圏人口に陣取る東京ディズニーランドをも超えて、単月ではありますがついに集客数日本一のテーマパークになることもできました。<中略>USJはなぜ復活し、大成功をおさめることができたのか? なぜ次から次へと新しいアイデアが出てきて、なぜやることなすこと上手くいくようになったのか? その秘密は、たった1つのことに集約されます。USJは、「マーケティング」を重視する企業になって、劇的に変わったのです。

 

■所感

とてもわかりやすい。

昨今、マーケティング目線はマーケターだけでなく組織のあらゆる成員、例えば人事部などにおいても重要な観点になっている。従業員体験を創造するという概念「Employee Experience」などはその典型だろう。本書は、そのマーケティングの基礎的なフレームワークや考え方を非常に明快に教えてくれている。まさにマーケティング入門。

また、多くの企業が陥りがち、あるいは混同しがちな技術/品質起点と顧客起点は別物であることも非常にわかりやすく解説されている。

一方で、では具体的に個人・組織の利害を超えた顧客起点の考え方を企業に根差すためにどうすればいいかという点の解はない。それが気になるところ。

 

■メモ

  • 現実世界では、個人レベルの利害を土台にして、部門レベルの利害の軸が更に加わってくる。これらが縦横無尽に走っているのが会社組織。それをぶったぎって「消費者価値」としてのベストを押し通す意思決定の仕組みが必要。
  • マーケティングが必要に迫られるのは技術的差別化が難しいローテク業界。
  • マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」。コントロールすべき消費者との接点は3つ、‐暖饉圓瞭の中を制する(認知率、ブランド・エクイティ)、店頭(買う場所)を制する(配荷率、山積、価格)、商品の使用体験を制する(トライアル、リピート率)。
  • 売上個数 = 消費者の数 × 認知率 × 配荷率(+山積率) × 購入率(+再購入率)
  • 戦略とは目的を達成するために資源を配分する選択のこと。
  • 戦略の4S:Selective(選択的かどうか)、Sufficient(経営資源が勝利に十分かどうか)、Sustainable(継続可能かどうか)、Synchronized(自社の特徴との整合性)、この4つで戦略の妥当性をチェックする。
  • マーケティング・フレームワーク 〔榲→¬槁検Who)→戦略(What)→だ鐔僉How)、その前提に戦況分析がある。市場構造を理解して味方につけること。
  • 戦況分析の5C:Company、Customer(顧客/流通などの中間顧客)、Competitor、Comunity(ビジネスを取り巻く地域社会の理解)
  • 良いマーケターは消費者ニーズの理解に努めるだけでなく、底辺に流れる価値観や悩みはどこにあるのか、常日頃どんなことに関心を持っているのか、別の文脈ではどんな消費者行動をとっているのかを理解している
  • 目的は、高すぎず低すぎず、シンプルで魅力的
  • コアターゲットの見つけ方の切り口 : .撻優肇譟璽轡腑鵝淵テゴリーの中で自ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはないか)、▲蹈ぅ筌襯謄、コンサンプション(1回当たりの消費量を増やせるグループは)、ぅ轡好謄燹併藩兢ι覆亮鑪爐鯀やせるグループは)、ゥ僉璽船Д后Ε汽ぅル(既存使用者の中で購入頻度を上げる/購入サイクルを短くする)、Ε屮薀鵐鼻Ε好ぅ奪繊淵屮薀鵐品儿垢硫椎柔のあるグループは)
  • Howの4P(Product, Price, Place, Promotion)
  • 弱点は2種類ある。自身の強みと関係のない弱点、克服すれば自身の強みを更に発揮できる弱点、前者は強みでカバー、後者は克服すべき
  • 自分の強み探しにおいて重要なのは、他者との比較でないこと。自分の中の相対的な好き・嫌い・得意・不得意から導き出す
  • 人間の行動:第一の層価値観、第二の層マインドセット(意思・心構え)、第三の層スキル(技術)、第四の層振る舞い(人から見えるのは振る舞いだけ)

以上

| ビジネス書(一般) | 20:53 | comments(0) |
「他人の目」が気になるあなたへ 自分らしくのびのび生きるヒント / 水島広子

■概要(Amazonより引用)

「友人が少ない人、つまらない人と思われたくない」
「みんな自分のことをブスだと思っているに違いない」
「キャラを演じなくては嫌われる」「メールには即返信しなくては」……。
現代人はなぜこうも「他人の目」を気にするのか? 
要因となる“プチ・トラウマ"とその正体、克服法を精神科医が語る。

 

■所感

まあ割とこの1年という特にこの1か月は、何とかして評価を上げないといけないという意識が強すぎたせいで非常に気分の浮き沈みが激しかった。また、そんな他者の存在で簡単に疲れ切ってしまう自分自身に対しても失望し、なんだかドッと疲れたのだった。

一方ふと冷静になれば、自分は何と戦っていたんだろうかと。要は自分で自分を追い込んでいたようにも思える。

そんなわけで手に取ったのが本書。精神医学として、こういう感情の起伏や疲労にどのように対処すべきか改めて知りたかった。

 

結論、とても参考になる本であった。

要約として以下の通り。

  • 他人の評価とは他人の問題であり、しかも一時的で不安定なものである。それを基準にしているうちは心の安定は訪れない。基準にするのは、「自分の感じ方」。自分は「評価される対象」ではなく「感じる主体」であるということ。
  • 自分の現在は、「ベストを尽くしてきた」結果であり、「ここまでの事情の結果として現在の自分がある」。良い面も悪い面もなくあるがままの自分がそこにはある。
  • 自信とは身に着けるものではなく、そんな自分自身を肯定する事である。
  • それでも他人が気になるのなら、「自分は他人が気になるタイプだからそう感じるのは仕方がない」と思えばよい。
  • また、何かと評価を口に出す評価体質の人間には、そのように評価し口に出してしまう事情があるのだと、寛大な心で接することが自分の平穏にもつながる。

 

どうだろうか。もちろん、コンプレックスを基に自分以外の者(ありたい自分)を目指すことが強烈なモチベーションになることは否定しない。評価体質だからこそのエネルギーは過去に間違いなくあった。

 

しかし、現在は少し違う心境になっている。

まずここまでの自分のやってきたこと、やってこれなかったことを認め、現在の自分を受け入れる。そして今後も引き続き目の前にベストを尽くし、自分の成長を実感しながら生きていく。そんな風に生きていければいいなと。

それが、他人の課題と自分の課題を切り分けるということであり、もっと言えば、人生の主体を他人から自分に取り戻すということにつながっていくのだと思う。

 

■メモ

  • 他者による評価(常に相対評価)ほど不安定なものはない。それをもとに行動しているうちは安心感は得られない。
  • 私たちは自信をつけたくて他人の評価を気にします。自信さえあれば他人の評価が気にならないということは、他人の目を気にすればするほど自分の自信の無さに直面するということでもある。ここに出口はない。
  • 他人から「気にしすぎ」と言われると、人は「気にしすぎ」な自分を気にし、その結果、他人に対して「やはり他人は自分を評価し傷つける存在だ」という認識を強化してしまう。すでに気にしているということは、他人に対してその前提を持っていると言う事であり、ゆえに、「気にしないようにしよう」という心持ちは意味がない。
  • 対人関係療法では、病気というものを明確にする。例えば、「体型を気にする病気だから仕方ない」と考えることで、まずはあるがままの自分を受け入れることから始める。ありのままの自分を受け入れるというのは、「ここまでの事情の結果として現在の自分がある」と思う事。その際に重要な視点は「自分はどんなときにもベストを尽くしてきた」ということ。努力不足ではなく、そこには現状の限界があるだけ。
  • 自信とは「身に着けるもの」のような印象があるが、実際には「自分を肯定する気持ち」のことをいう
  • ポイントは「自分が気に入っている」ということ。「他人からプラスの評価を得ること」に重きを置くのではなく、「自分が良い感じ方をしていること」に重きを置く。
  • 結果がどうなるかよりも、今は「これでよい」と思う事が重要。それが自信のもとになる。
  • 自分を「評価される対象」から「感じる主体」にシフトさせることが、人生における楽しみにつながる。ダイエット、ファッション、メイクなんでもそう。
  • 他人からの評価は、相手側の問題。自分側の問題と混同するべきでない。相手には相手の事情があり、自分をネガティブに評価する人にはそうする事情がある。「つい言ってしまった人」や「何かしら事情を抱えた人」として相手の事情を尊重することが、結局自分の平穏につながる。攻撃ではなく苦しい悲鳴と捉える。
  • 口を開けば評価ばかりの人も「評価体質」の人もいる。幼少期から評価ばかりされてきた人の中には、何かを自分なりに位置付けないと安心できない人がいる。曖昧なものをそのままにしておく耐性がない。
  • 「評価体質の人」の中には、「他人を理解しようとする自分」や「寛大な自分」を作ろうとする、実は自分に厳しく他人の評価を気にしているタイプの人もいる。
  • 他人の目を気にしているときの私たちは、過去のプチ・トラウマや将来の成りたい自分に目がいっており、現在をお留守にしている場合が多い。今の感じ方を大切にすることが重要。
  • 自己開示をすることは関係の深まりにつながる。勇気を出して言う事でありのままを受け入れてもらうことは計り知れない治療効果がある。ただし、評価体質の人はありのままを受け入れないので、選ばないようにする。
  • そもそも「順風満帆な生き方をしてきたので、人生に傷をつけたくない」というのは、他人の目を気にしたモノの見方そのもの。
  • 他人の目が気になるときは、「今、自分はどういうストレスを抱えていて、自分についての感じ方がなぜ悪くなっっているか」をよく考えるとよい。バロメーターとして癒しが必要なときと考える。
  • 思春期は親から離れ「自分」に目が行く時期。ただし、思春期の対人関係様式を「人生の本性」と思ってしまうと、大人になっても他人の目が気になり続ける、ということになってしまう。

以上

 

 

| ハウツー書 | 01:03 | comments(0) |
最近のサンガ雑感 + 本の感想(BCGが読む 経営の論点2019 / ボストン コンサルティング グループ)
評価:
---
日本経済新聞出版社
¥ 1,728
(2018-11-22)

サンガが好調でとても嬉しい(というか最近は、昇格を意識してしまってホッとする感じ)。思っていた以上に早く昇格圏内に来た印象で、その分そんなに楽観視できない状況ではあるが、いずれにしてもよくここまで持ってきたなとは思う。

試合内容を見ても、決して潤沢でない現有戦力において、間違いなくベストな戦術の選択ができている。何より、もっとロマンに殉ずるタイプのチームになるかと思っていたら、思いのほか柔軟に戦い方を変えることができており素直に素晴らしい。スタイルと共に選手の自主性を育てられている結果であり、サポーターの立場からしてみれば内容・結果ともに望外の状況ではないだろうか。

 

ここから先、藤本が加入してどこにハマるか。重廣を筆頭に金久保、福岡とインサイドがチャンスの割には決め切れておらず、またアシストも多くない印象が強いので、セットプレーをはじめここに変化が出るのが理想的。

個人的に期待する選手は上夷。攻撃面は既に申し分なく、今後は薄い守備陣の中で、終盤を引き締める主軸となっていてほしいと思う。

 

さて、サンガと全然関係ないが、本の感想を。

 

■概要(Amazonより引用)

AI@スケール、デジタルSCM、モビリティの進化……
デジタル&テクノロジーが変える経営の未来! 
トップコンサルタントはここを見ている! 

戦略コンサルファームとして、世界中に拠点を持つボストン コンサルティング グループ(BCG)。
そのコンサルタントたちが、日本企業の経営にインパクトを与える論点を選び、これから何が起こるのか、どのような備えが必要なのかを提言する。

 

■所感

各テーマの深堀具合や面白さは例年通りという印象だが、組織文化や人事的な施策に波及した話が多くなっている気がする。それは

やはり、デジタル化やアジャイルといった、合理的・効率的な物事の進め方に対して、従来型の組織の在り方がモロにボトルネックになっているということなのだろう。ビジネスの上流を取り上げてきた本書ですらそうなのだから、今後あらゆる領域で組織・人事に対する問題意識が高くなることが予想されるわけで、旧来型の人事部門の肩身がより加速度的に狭くなっていくのだろうと思う次第。

 

■メモ

  • デジタル化の難しさ .如璽燭諒散・欠損、⊇蝶笋蠢反イ陵害調整、チェンジマネジメントの難しさ、ぅ妊献織襯吋ぅ僖咼螢謄の不足。は部門横断型の改革組織はPL責任を持たないため、事業部門に押しきられがち。
  • 新規事業の目的を設定する場合、売り上げ何億ではなく、それが創出された前後で世の中がどう変わるかという大きな視点を持つことが大切。
  • 事業アイディアの三つの観点 .泪ロな環境変化、▲罅璽供爾良塰やストレス、3ユーザー自身が気づいていないような感情面でのニーズ・欲求 開発
  • 終盤の投資委員会で言われるのが、それほどそのアイディアが有望なら、あなたが会社を辞めて、始めたらいいではないかという問い、このときにそうなっても絶対にやりたいと思える情熱があるかが重要
  • スキルのあるチームをつくるためには、インセンティブの設計が鍵。大企業のヒエラルキーを持ち込まない、フラットでオープンな環境をつくることが重要。子会社した方がやりやすい。
  • デジタル化の失敗パターン 組織内の企業文化と減点主義。ミドルアップやボトムアップが根付いた組織ではなかなかトップダウンで物事を決めきれない。減点主義では新しいチャレンジへのインセンティブが生まれない。
  • アジャイル化推進上の人事の課題 高頻度な目標設定・フィードバック、チームごとの評価基準、絶対評価、パフォーマンス評価とスキル・ケイパビリティ評価、育成プランニングの役割分担、多面的なキャリアパス、職種単位の採用・育成・配置
  • 働き方改革においてもアジャイルのアプローチは有効。特に大企業従業員が辟易としている部門間調整、上司への根回し、無駄な会議や資料作成の時間を減らし、裁量権を持って仕事を進めることができる。
  • デジタル化と併せた期限付きのチームを組成することが可能。 アジャイルの源流は日本の現場。オランダのINGの用語OBEYA。ホンダの大部屋制。大部屋で常に顔を付き合わせ課題の共有や意思決定を速やかに行うこと。

以上

| ビジネス書(一般) | 15:07 | comments(0) |
心理学的経営 個をあるがままに生かす / 大沢 武志

■概要(Amazonより引用)

人間をあるがままにとらえる「個性化」と「活性化」のマネジメントとは。
江副浩正氏のもと、リクルートで30年にわたり組織における人間の「感情」や「個性」を深く追求した著者の、実務と研究に基づく全く新しい経営論。
1993年に刊行された本書は今なお、「人材経営」の原点として求める声が多い。 四半世紀の時を越え、電子書籍・プリントオンデマンドで遂に復刊。

 

■所感

概要にもある通り、長らく絶版の状態が続いていた本書。中古価格で約5万円という異常な価格がついていたが、最近ようやく電子書籍及びパーパーバックで再発が始まった。

本書の価値は、組織・人事系のビジネス書では稀有とも言える徹底した科学ベースの記述にある。全ての言説が豊富な心理学の研究結果を基にしており、そこに著者が経営に携わっていたリクルートの実務的成果が織り込まれることで、これ以上ないほどの説得力がある。また、組織・人事の各テーマが広く解説されており、心理学の基本的なポイントを効率的に理解できる。絶版が不思議なほどの内容の充実ぶりである。

そんなわけで、全ての人事パーソンがまず読むべき、組織・人事のバイブルであるとはっきりと断言したいと思う。

 

■メモ

  • 「道具理論」:「努力」には2つの種類がある。(努力がある成果に結びつくと主観的に思う期待) × (成果が報酬につながると主観的に思う期待 × 報酬の魅力度)
  • 「職務特性モデル」:内発的動機付けが高まる5つの要素「職務設計の中核的五次元」.好ルの多様性、▲織好アイデンティティ(課業の一貫性)、仕事の有意義性、ぜ律性、ゥ侫ードバック(自分のせいかを確かめることができるか否か)。ただし、当人の能力や技能が著しく低い場合、現在の給与や作業条件などの環境条件に不満を持っている場合は5つのどれを上げても内発的動機は高まらない。
  • フィードバックの効用 : ,△泙蠅北槁犬ら遅れすぎている人にとっては、フィードバックの情報が諦めにつながる場合がある。最も効果的なのは中程度の進捗が遅い者に対してということがわかっている、∩瓩瓩僕燭┐進がいいという原則、フィードバックによる業績改善効果が顕著にあらわれるのは達成意欲が高い場合
  • リクルート:一言で言えば自由なマネジメント風土。個々人の自由裁量の幅を可能な限り拡げ、しかも多様な能力の要求されるマルティプルな仕事に挑戦できる仕事の環境と風土づくりの実現。
  • 目標は具体的で明確なほど、エネルギーを方向付ける力になりやすい。困難な目標の方が一般的にモチベーションが高まるが、「困難」はその目標が個人にどう需要されるかにかかってくる。目標設定理論では、背伸びをすれば届きそうな目標が効果的と言われる。
  • 集団目標がある方が高い業績を生む
  • ホーソン効果:何か特別なことに特定のメンバーを選んで参加させることで、その集団のモラールが高まること
  • 集団凝集性:集団の規範にメンバーの行動を同調させようとする力が働くのは、その集団にそのメンバーを惹きつける魅力があったり、メンバー間に仲間意識があるような場合。このような集団のメンバーをその集団に留まらせうる求心的な力が働く強さを集団凝集性という。凝集性の高い集団では、心理的な帰属意識が強く、メンバー間の連帯感や仲間意識も強い。仕事における不安や緊張が少ない。
  • 活性化は、既成の構造としての秩序を破壊することから始まる。既成の価値体系、暗黙知のうちに受容された行動規範に提示される。さらに今のままではだめだと現状を厳しく自己分析して、昨日までの成功体験を否定する。こうした現状の自己否定が組織に葛藤と緊張を引き起こし、組織内の均衡状態を破壊していく。これがカオスの演出としての最初の戦略。
  • 組織活性化のポイント:〆陵僉↓⊃融異動、6軌蕁↓ぞ集団活動、ゥぅ戰鵐函共通しているのはカオスの演出。
  • リクルートの研究結果によるリーダーシップ行動を構成する4つの因子:‐霾鹹鷆 併纏の方針や計画、知識や技術の部下への提供)、⊃μ廓塾蓮平μ蛙觜塲塾蓮計画力、問題解決能力)、G枸検壁下の気持ちの受容、感情への配慮)、て栂紂壁下の仕事のチェックや目標達成への要望)
  • リーダーシップ行動四因子(上記に基づく二次調査):〕徊樟(指示を与え、能力の最大限の発揮を求め、生産性を高めることを指向した行動)、共感性、D粍媽(意味のある情報の提供)、た頼性(部下から見て能力的に人間的に信頼に値するかどうか)
  • 企業人適性の三適性:/μ嚇応、⊃場適応、自己適応(対仕事、対人、だけでなく自身の価値基準や情緒的な適応性、自己本来の価値の実現といったどの程度満たされるか。近年の新たな転換的な基準)
  • ユングの知覚と判断の二大心理的プロセスは問題解決のプロセスにも当てはめることが可能。ヾ恭弌幣況を調べる)→直観(役立ちそうなあらゆる手段を探すステップ)→思考(解決策の選択)→感情(周囲への影響を配慮し検討するステップ)。どのタイプの人も自分の最も得意なとところを存分に発揮したほうがよい。
  • 外向型の人は内向的な一面を持っていないわけではない。自分にとって使いやすい特異な機能をもっぱら使うので発達が促進され、結果としてタイプが形成される。
  • 日本の企業社会においては、優れた管理者はしたたかな自信家。民主的・参画的リーダーシップよりも実は専制的なリーダーシップをよしとする本音を持っている節がある。(エドウィン・ギゼリ博士)

 

以上

| ビジネス書(組織・人事) | 16:14 | comments(0) |
組織の未来はエンゲージメントで決まる / 新居佳英、松林博文

■概要(Amazonより引用)

働きがいも、生産性も、すべての鍵がここにある。
業績との相関が科学的に証明され、スターバックスやザッポスなど世界の成長企業が重要視する「エンゲージメント」とは? 注目のHRテック企業の経営者とビジネススクール人気講師が実践事例と理論をもとに語る、組織・チームづくりの新常識。

・日本企業は「やる気のない社員」が7割! ? 有名大企業からも離職が相次ぐ理由
・生産性、収益性、離職率との相関が明らかになった「エンゲージメント」の初の入門書
・肩書の廃止、全社員が株主、子連れ出社OK・・・アトラエの組織づくりの施策を大公開
・老舗の製造業から新興IT企業まで、さまざまな企業の取り組み事例を紹介
・経営者・人事担当者・マネジャー必読! モチベーションよりも大切なもの

 

■所感

最近よく耳にする「エンゲージメント」の入門書としてはまずまずと思う。各記述の根拠が明確でないケース(主観)や具体的取組は施策事例の簡単な紹介に留まるが、概念を理解するには十分だろう。

 

エンゲージメントという指標自体については、満足度やロイヤルティといった従来型の一方向的な指標に比べ納得感がある。ただし、では「何のためにエンゲージメントを上げたいか」がリテンションだけに留まるようであれば、共感性は乏しく、やはりエンゲージメントは上がらないのだろうなと思う。

 

■メモ

  • エンゲージメントの定義:組織や職務との関係性に基づく自主的貢献意欲
  • タワーズワトソンによる定義:従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲
  • エンゲージメントには従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントが存在する。どちらかが低くて、どちらかが高いということもありうる。
  • 従業員エンゲージメント:企業・組織と個々の社員の間の関わり合い。組織に対する自発的な貢献意欲。
  • ワークエンゲージメント:「仕事の内容」と個々の社員の関わり合い。主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を表したもの。
  • CEB社の27か国、10業種の59社5万人の調査によれば、エンゲージメントの高い従業員が1年以内に離職する可能性は1.2%、低い従業員は9.2%。
  • HRBのレポートによればエンゲージメントとサービス品質には相関がある。
  • エンゲージメントと組織の形態は別の問題。組織のビジョンに合った適切組織形態をとることが重要。
  • 会社の置かれた環境、業務の内容・特性、人材のレベルやタイプの3つのファクターがエンゲージメントが高い組織をつくるうえで重要。
  • 組織の状態を点でなく線でとらえること。様々な要因で日々変動する。
  • サバティカル3:3年ごとに1か月の休暇が取れる制度
  • 『バリュー・クリエイカー』によるビジネスにおける価値の生み出し方(2軸、4象限):価値と管理、協働と競争。自分の仕事がどこに比重が置かれ、どういう状態にしたいかを考える参考になる。
  • エンゲージメントを高められる人に共通する資質、.咼献腑淵蝓爾任△襪海函↓⊃爾ぢ佻辰できるコミュニケーション能力、人間関係・信頼関係を築く力

 

以上

 

 

 

| ビジネス書(組織・人事) | 23:35 | comments(0) |
20代仕事筋の鍛え方 / 山本 真司
評価:
山本 真司
ダイヤモンド社
¥ 1,980
(2005-08-20)

■概要(Amazonより引用)

銀行、MBA、外資系コンサルタント、独立とキャリアを重ねてきた著者が20代に贈る「逆説的キャリア論」。

 

■所感

”最初に転職した外資系コンサルティング会社は七年半勤務して、かたちは依願退職だけどれどもね。成長の壁にぶつかってしまって、どうにもこうにも身動きがとれなくってしまってクビになる前に辞めたんだよ”

経歴を観ればバリバリのエリートに見える著者も、挫折を経験して今に至っている。そんな著者の「学習力の向上自体が人生の目標」「作用は自分の力で起こし、反作用はその結果を淡々と素直に受け入れること」といった地に足に着いたキャリア論は納得感がある。

報酬や名声といった外面的な「キャリア」に憧れがちな20代の人たちにとっては、考えさせられる読み物になるだろう。

 

■メモ

  • 学習の時期とリターンの時期を経験したか。最初の2年くらいは闇雲に新しい職場で必要とするスキルを学んだ。次の2・3年が実践しながら学ぶ期間、最後の2~3年が大きなリターンであり成果を上げてさらに学ぶ期間だった。たまたま7年半で一つのサイクルになっていた。
  • ワンサイクルが終われば新たなチャレンジに臨めばいい。その会社に自分を成長させる機会や一から勉強できる機会が存在するならそれに取り組めばいい。そうでなければ転職を考えればいい。
  • 努力は2つある。自分を磨く努力、そして今の自分をどううまくお金に結び付けるかっていう努力。後者はお金儲けに向けてどうポジションをとるかが大事になってくる。それでは自分の実力は伸びない。
  • お金を追いかけたら行動は短期に偏ってしまいがち。成果主義のもとに目先の利益に目を向けることで、中長期に鍛えるべき能力を犠牲にする可能性がある。特に怖いのは、実力を磨くことなく、自分を実力以上に見せかけるテクニックばかりを学ぶこと。短期的には評価されても、長期的にはスッカラカンの人間になる。
  • 20年後がわからない。だからこそ、現在の仕事を通じてどんな時代にでも通用するケイパビリティ、すなわち仕事能力を鍛えることが重要。
  • 説教をする心理は自分の優位性、優越性の確認に過ぎない
  • スキルが上がったとか何かの知識を学んだとかそんな低次元な喜びではなく、新しい難しいことでも簡単にマスターできるようになったといった、自分の成長を感じる喜びを感じられるようになったことが大きい(学習力自体の向上)。その向上を通じて知らないことでも新たに挑戦しようと思える。
  • 自分の力でどうにもならないことは素直に現状を受け入れることにした。抵抗するのをやめた。作用と反作用、作用は自分の力で起こし、反作用はその結果を淡々と素直に受け入れることでバランスをとるということ。

 

以上

| ビジネス書(一般) | 17:23 | comments(0) |
企業内学習入門―戦略なき人材育成を超えて / シュロモ ベンハー (著), 高津 尚志 (翻訳)

■概要(Amazonより引用)

過去10年間、企業の人材育成は満足な成果を上げていない―?人材開発の重要性がますます叫ばれていながら、自社のラーニング部門の実績に満足しているビジネスリーダーはわずか20%程度。大半の企業では、確たる成果が見られないまま、従来型の研修プログラムが続けられているのではないか。いま必要なのは、人材開発の目的を根本から問い直し、自社の戦略と整合した企業内学習の形を見出すことだ。知識の獲得だけでなく行動の変容を、個人の能力向上だけでなく組織の業績向上をもたらす企業内学習(コーポレート・ラーニング)の要諦を、世界トップクラスのビジネススクールIMDの教授が解説。

 

■所感

表紙がシブい!

本書は企業の人材開発部門目線でOff-JT(主に研修プログラムの体系)を戦略的に構築するための概論である。そもそも戦略部門化が遅れている人事部門の中でも、特に戦略的で定量的なPDCAが回っていないのが人材開発部門である。要はやりっぱなしで、良かったのかどうかもわからず、行動変容につながっている感もないのが多くの実情と思う。そこで本書は、大前提の戦略策定から社内に向けたブランディングまでの包括的なステップ全体を説明している。

最も読みたい章であった「価値の実証」(研修のKPIをどうやっておくか)などの肝心なところがやや抽象的な話に終わっていたり、翻訳特有の固有名詞の意味を分解しきれていない箇所もあるところは残念だが、全体としては構造がわかりやすく、確かに「入門」としては良い本だなと思う。

 

個人的に印象に残った点は2つ。1つは、企業の置かれた状況を踏まえた「研修の意味づけ」が改めて重要だと言うこと。脈絡のない研修では本人も部署もどう仕事につなげればいいのかわからない。

もう1つは、個人ではなく、チーム(部や課など)全体に対する研修の有効性である。ロジカルシンキング研修だろうが、財務研修だろうが、要はチームの仕事においてロジカルにまたは定量的に物事を考える気風があるかどうかに、その後の伸びは関わってくるわけで、対個人ばかりじゃあまり意味を成さないのではないかと。このあたり、チームビルディングも含めた有効な研修開発の視点になりうるかもしれない。

 

■メモ

  • 人材開発のミッションにはリアクティブな目標とプロアクティブな目標の両方を入れ込むのがよい
  • スコープ −.機璽咼垢鯆鷆,垢戮対象集団の特定、対象集団ごとの戦略的ラーニング目標の特定、社内のその他の学習システム、体制や人材との関連性(接点)の特定
  • ラーニング部門の基本的な役割 −.廛蹈妊紂璽機次淵蕁璽縫鵐亜Ε廛蹈瀬トを開発する)、ディストリビューター(ラーニングプロダクトを提供する)、プロバイダー(ラーニングのプロセスを支援する)、ぅ屮蹇璽ー(知識・助言を売るコンサルタント)
  • ポートフォリオ −誰に、ではなく、何を、に基づいて作成する必要がある。一つの目標に対し、ターゲットにすべき集団と提供すべきプログラムを割り当てるとよい。一方で説明・整理用に従来的な、対象集団とラーニング計画のマトリックス図も用意しておくとよい
  • 行動変化というトピックへの言及が欠けていることが多い
  • 研修のメソッドは、既存の調査からはどれが本質的に優れているのかを特定することはできない
  • スキャフォルディング(足場づくり)とは、.薀ぅ鵐泪諭璽献磧爾妨修や支援を施し、彼らが従業員の学習をうまくサポートできるようにする、▲螢侫譽ション(振り返り)のための学習者同士のブログを導入する
  • テストを行う(テストを行った方が学習内容を憶えているという調査結果がある)
  • 「振り返りのきっかけ」をつくる
  • 携帯メールを使って簡易アンケートの実施や結果報告を行う
  • アウトソーシング発注者の大部分は、受注者の仕事ぶりについて「非常に満足している」と答えるのは三分の一だろう
  • 参加者のアンケートのみに頼るな
  • マイスターの信頼の方程式 信頼=(信憑性(専門知識や存在感)+信頼性+(頼りがいや一貫性)親密さ(オープンさ))/自己志向性(自分の都合へのこだわり)
  • ラーニング・ソリューションの開発については、一方でいまだに従来のアカデミックな学習観に縛られながら、他方で目を奪うような最新テクノロジーにすっかり翻弄されている
  • アカデミックな学習が主にインプットを重視しているのに対し、企業内学習はアウトプットをどう応用するか、の違いがある

 

以上

| ビジネス書(組織・人事) | 01:33 | comments(0) |
おれ、バルサに入る! / 久保 建史

久保建英日本代表招集記念!

というわけではないのだが、良い本だったので紹介。

 

■概要(Amazonより引用)

2011年、スペインサッカー・FCバルセロナ下部組織に日本人として初入団したのが、久保建英君。原則として地元出身、例外を認めても13歳以上の少年しか入団できない最強軍団に、なぜ9歳の少年が入れたのか? そこには、メンタルと体幹を鍛えた9年間の工夫があった! ベビーカーは使わずにはだしで外遊び、テレビは見せずに週20冊本の読み聞かせ――平凡な会社員一家の非凡な子育てを、父が大公開! 今日から親子でできる、23種の練習メニューつき。

 

■所感

ここのところ毎週久保建英の活躍を見るのが楽しみでFC東京の試合を観ている。彼の魅力は大きく2つあり、1つは局面の判断の良さ。今まで”天才”と言われるような、ドリブルや身体能力に特徴のある若手は多数存在したが、彼らの多くが持たなかった判断力と意思を久保からは感じる。

もう一つはやはりそのコメント力で、常に的確な分析を基に自分の言葉で明確に語ることができる。この年代では”良いコメント”と言われるものの多くも、どこからか借りてきたような月並みなコメントが大多数を占める中、自分の正直な思いを自分にしか言えない言葉で表現できている。この能力は、この年代どころか、サッカー選手全体を見渡しても抜群と感じる。感性だけでない、知性を兼ね備えた能力の高さという意味では、中田英寿以来の才能といった感じがする。

 

で、そんな日本人離れした本人のルーツがやはり知りたくなる。どうすればこんな選手、というかこんな人間が育つのか。それを知りたくて本書を読み始めた。

ちなみに本書が発行された当初は、「親が出しゃばってきたな」「メディアに踊らされてんな」と穿った見方をしていた。これとかこれみたいに。だが実際に読んでみればわかるが、その内容には親のエゴや自己顕示欲は一切感じない。当時過熱していた報道に対して、きちんと自分の言葉で周囲のニーズに対して応えようとする、父親久保建史氏の真摯な思いを感じるのみだ。

 

氏の教育は、「バルサ養成徹底特訓」みたいなものでは決してない。「子どもに何か強みとなるもの、自信になるものを持たせたい」という思いの下、子供の内側の意思を引き出し、そこに全力で寄り添うことを重視している。それが久保建英の場合はたまたま「バルサに入りたい」との思いだっただけ。

ただ、その寄り添い方は半端ないものがあり、様々な情報源やヒアリングを通じてバルサに行くための現実的なルートを探したり、毎朝出勤前に公園で1時間程度、バルサで求められるプレースタイルのための練習を行ったりしている。子供に”夢を持て”という親は多いし、親が思う”こうなってほしい”を徹底して押し付けることはよくあると思うが、子供本位の夢を肯定し、その夢の実現に親がこれだけ手伝うというのは中々できることではない。

 

また、ピッチ外の人間形成面においては、母親の教育方針が実を結んでいる感がある。自分の意思を明確に持ち、ストレートに表現できる人間になってほしいとの思いから、徹底して外遊びをさせる、年長者がいる環境にあえて入れる等、子供が自ら感じ考える環境に飛び込ませ、そこで生まれた子の主体的な行動をとことん褒めて育てている。特に子供の育つ環境については、幼稚園だろうがグループ活動だろうがサッカークラブだろうが、きちんとその組織を観察し、目的をもって加入させている。

少年サッカーレベルだと、自分の経験上、まともにコーチングやティーチングの技術を学んでいないような未熟な指導者もまだまだいる中で、親のこうした関わり方はすごく大事だと思う。

 

実際今の久保を見ていると、こうした教育の影響を強く感じる場面がある。典型的には試合後のコメントだが、久保のコメントの何が良いって、まずプレーとその時の判断を細部まで覚えている”記憶力”、そして自分の思いに正直であろうとする”誠実さ”、更にそれを月並みな言葉に逃げず、自分ならではの言葉に置き換えて話そうとする”主体性”である。

このあたり、本書に書かれている以下のような取り組みを知ると、すごく納得感がある。

  • 考えて話す習慣をつけるー「昨日何があった?」「誰と遊んだ?」「楽しかった?」「つらかった?」
  • 試合後の会話を大事に −「楽しかったか」「何がたのしかったか」、自分の気持ちや感想を言葉にして伝える機会が重要
  • 試合の振り返りはプレイを記憶するため。それができるようになると、改善を元にした練習も上達が早かった

 

本書を読んだからというわけではないが、最近、親が子供の意思を引き出し、時間をかけて関わることの重要性を強く感じる。

子供の人生はもちろん子供の責任が一番大きいし、親に放置されていたとしても子供はそれなりに育つだろう。当然、親に教えられなかったことも自分の体験を通していつか”気づく”ことはできる。ただ、この”気づき”は、気づくのが遅すぎることもあると思うのだ。もっと早く気づいていれば、より多くの選択肢と大きな可能性をもって人生を歩むことができたのではないかと。

 

自分の経験で言えば、周囲の人間が自分の中に夢や目標を持てず、企業のブランド力や報酬といった相対的・外発的な動機ばかりで自分の人生を測っていることがよくある。他人との比較でモチベーションを上げる効果自体を否定するつもりはないし、必要な場面はもちろんあるが、それを突き詰めても、その先に待っているのは常に他人との比較である。その結果、先に待っているのはいつも物足りなさと自分の限界であり、最悪の場合は能力的な壁にぶつかり立ち直れず、身体を壊すことすらよくある。

彼らにとっては、”自分の中の目標を持て”とか”比較でなく自分の達成感を大事にしろ”とか言われたところで、理解はできても今更実践することはすごく難しい。つまり、親の教育が20代後半から30代といった”大の大人”になってから大きな迷いをもたらすという残酷さも見えてくるわけだ。だからこそ久保家は人間形成においてとても良い教育をしているように思える。

 

もちろん久保建英が今後どうなっていくかはわからない。この途方もないような高さの期待値に沿った活躍をしていけるのかはわからないし、そもそもそれは恐ろしくハードなミッションだ。しかし仮にサッカー選手として大成しなかったとしても、久保は自分の意思で自分が満足できる人生を歩んでいけると思う。そしてそれこそが、バルサよりも日本代表よりも何よりも、久保の両親の願いなのだと思う。

 

 

■メモ

  • 子どもに何かを強みとなるもの、自信になるものを持たせたいと考えて子育てしてきた
  • 6歳の子どもがバルサに入りたいと言ったからって、本気になる親がいるのとビックリされるかもしれないが、自分たちにとっては自然な流れだった
  • 長男だけど次男のように育てたい。長男は周りを見てすぐに行動できない。やさしさがあるが、自分の気持ちをストレートに表現できない。次男は長男たちと遊ぶから、待っていても順番がこなくて、積極的に工夫せざるをえない。年の差も気にしなくなる(→外遊び、自主保育)
  • 縦のつながりを重視する幼稚園の方針
  • 外遊びをするためには家の居心地がいいとダメ
  • 出来なかったことができるようになる体験は、子供にとって大きな財産になる
  • 小さいうちは、いつも何かほめることがないか探すくらいでちょうどいい
  • テレビを見せなかった。恐らく情報量の多さとスピードン位圧倒され、何も考えていない状態になる。実際、子供が魂を抜かれたような顔を見せる時がある
  • 考えて話す習慣をつけるー「昨日何があった?」「誰と遊んだ?」「楽しかった?」「つらかった?」
  • ミニゲームは必ず子供の勝ちで終える
  • 5〜8歳のプレゴールデンエイジは、様々な刺激を体験させることが重要、ゴールデンエイジ(9〜12歳)は新しい動きを即座に身に着ける臨界期、スキルを獲得しやすい、足元の技術を身につく時期
  • とりあえず蹴っとけシュートはやめさせる
  • 子どもが嬉しいのは「ほめられたとき」「勝てたとき」「うまくいったとき」
  • 試合後の会話を大事に −「楽しかったか」「何がたのしかったか」、自分の気持ちや感想を言葉にして伝える機会が重要
  • ある日息子から「やりたいサッカーと違う」と相談があった。私は「コーチにやりたいサッカーを伝えたらどうか」とアドバイスした
  • フロンターレでは年に一度保護者会がひらかれ、チームの育成方針が説明される
  • 試合の振り返りはプレイを記憶するため。それができるようになると、改善を元にした練習も上達が早かった
  • 欧州の名門では何歳で何を学ばせるか明確な指針がある
  • 「サッカーに教えすぎはない」が、選手自身が考える余地を持たせることが重要。試合中は子供の判断を尊重し、「クリア」「シュート」「戻れ」「パス」などのプレイを決定づける指示をしないこと
  • スクール選択に目的をもつ −_燭魍悗个擦燭いを選ぶ前に明確にしておく、↓,六期によって違う、,鬚ちんと先方に核にする、こ謄好ールの情報はスクール性保護者の情報を参考とする、ノ習の体験をする、ΔΔ泙せ劼参加しているか、ともに切磋琢磨できるか、Д魁璽舛一人ひとりをみてくれているか、┘魁璽舛真剣に考えてくれているか

 

以上

| 小説・エッセイ | 23:35 | comments(0) |
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